桂春蝶「落語で伝えたい想い シリーズ5」 | 紫亭京太郎のアメーバ・ブログ

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19日の水曜日。運営メンバーを務めている「神戸100年映画祭」へのゲスト出演でご縁をいただいた、桂春蝶師の落語会鑑賞に繁昌亭へ音符
 

 
桂春蝶 落語で伝えたい想い シリーズ5
「茶粥屋綺譚(ちゃがゆやきたん)」

前回に続いてほぼ満席の大入りの中、弟子の紋四郎、若手の笑福亭喬介と三人での落語会。今回も春蝶師は、中入りを挟んで二席。
紋四郎は「道具屋」、喬介は「寄合酒」と古典落語二席の後、中入り前の一席は古典落語の「看板の一」。
ところがこれが、途中まで「看板の一」とは気づかず、京都の公家が身分を隠して博奕場に現れると面白いことになったらしいということで噺に入ったため、「そんな古典落語あったかな?」という疑問と、もしや新作(新たな春蝶師の創作)では?という期待とが交錯しながら高座に見入った。すると、公家が自ら壷をふると言い出したところから「…あれ?」となって、気がつけば「看板の一」にチュー
元の噺のテイストを損なわず、見事なアレンジで再構築した一席!
「やられたーっ!!」という思いでいっぱいだった爆笑
 
そして中入りの後、いよいよ本日のメイン。
「落語で伝えたい想い シリーズ5『茶粥屋綺譚』」。
 春蝶師の「落語で伝えたい想い」シリーズは、毎回師が選ぶテーマをモチーフに噺を創作し、高座にかけている。前回はひめゆり学徒隊をテーマにした「ニライカナイで逢いましょう ~ひめゆり学徒隊秘抄録~」で、“戦争の語り部”を引き継がんとする師の思いが伝わってくる作品だった。今回、師がテーマに選んだのは、現代社会が抱える“医療と患者”における諸問題と、昨今酷薄となってきている“人情”。
大坂は新町の茶粥屋を舞台に、遊郭とその界隈の日常を織り込みながら、“シングルファーザー”の家庭を支える父親を突然襲う難病、降りかかる高額の医療費、そのために一気に貧困の奈落へと転落する家族(娘)と、今の日本にも起きている事象を描いていく。しかし、この親子の苦境をなんとか打開しようとする周囲の人間や、その苦境を救うある医師が見せる“人情”こそ、春蝶師が描きたい、これからも引き継がれていってほしいと願うものだろう。
 
春蝶師の「落語で伝えたい想い」シリーズも5回を数える。
これまでに、
 「手紙 ~親愛なる子供たちへ~」
 「明日ある君へ ~知覧特攻物語~」
 「約束の海 ~エルトゥールル号物語」

 「ニライカナイで逢いましょう ~ひめゆり学徒隊秘抄録~」

の4作品を創作してきた春蝶師。

5作目となる「茶粥屋綺譚」でも、今起きている社会問題や守り続けたいものを、古典落語の風景を借りて描き、少しでも伝わりやすいようにと、笑わせ、怖がらせ、ほろっとさせて観客に語りかけている。

 

今回の作品の中で、丹念な取材に基づいた数値データを提示したり、具体的で詳しく風景を描写することによって、より分かりやすい物語となっているのだが、落語には絶対に描かれない遊郭と性病の実態を描いた場面には驚かされたびっくり

落語において遊郭が舞台となるいわゆる「廓噺」に性病の描写がある作品も無くなない。「坊主茶屋」では、梅毒に侵されたのであろう、末期症状たる“鼻が無い”遊女が出てくるが、ギャグのオブラートに包まれていて怖いということはない。しかし「茶粥屋綺譚」においては、梅毒に侵された遊女が建物の奥の部屋に押し込められている様子が描かれている。

登場人物がその遊女の姿を見せられて、苦界に身を沈めることへの覚悟を迫られる場面に、昨今、比較的安易に風俗業界で働こうとする若い女性たちの意識や、再び流行しているともいわれている梅毒の蔓延に対して、警鐘を鳴らしていると見るのは、ちょっと穿ちすぎているか!?てへぺろ

 

ともあれ、春蝶師の「落語で伝えたい想い」シリーズは、今、一番見てみたい落語会のひとつである。

 
あ、落語会後に記念撮影してくれる気さくさもまた魅力でチュー
 
 

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