木原さんが矢沢永吉と離れた頃 | 矢沢永吉激論ブログ

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矢沢永吉がキャロルの前にやっていたバンドがヤマト、そのメンバーのひとりがノーバディ の木原さん。ヤマトはいいバンドだったけれど解散、その後キャロルがブレイクして解散、矢沢は木原さんと再会します。


矢沢永吉が木原さんと会った頃

ついにね、「矢沢、実は・・・」ときた。
もう、オレ、何言いたいのかわかるわけ。

「やめさせてくれないか」と言うのね、きっと。


「いや、そんな・・・」
オレ、声にならなかった。
「親父も、うるさくてサ・・・」

というのは、オレが木原を口説く時、あいつの親父さんと約束したわけよ。
「一年間預けさせてくれ」と。


それで、明治大学、休学届け出したの。

一年問、何も起きなかったらやめる約束で。
「親父も、一年経ったし、うるさくなってる」


わかる?このニュアンス。
「矢沢、もういいよ」
申し訳なさそうな顔して言う。
「矢沢、いいんだ。もう。何もいうな」
「矢沢らしくないよ」って、確か、そう言ったよ。


あいつにしてみれば、あんだけ強気で、怖いイメージで、ワンマンで、すごいボルテージの高い男が、弱い男に見えたんじゃないかな。

寂しい孤独な男に見えたんじゃないか。


で、オレ、「あのサ、そういうことやめようぜ。

オレたち、また頑張ろうぜ。新しいサイドギター見つけてサ。

木原、これ、車なんだけどさ、おまえ、運転覚えたいって・・・オレ、教えて・・・」

何でもいいから気をひこうとしてるのね。


やればやるほど、木原はポツンとしていく。
「もういいよ。矢沢らしくないよ」って。


オレ、その言葉聞いて、ポッと黙って・・・そうだなって思ったの。
別れることになった。観念した。
木原、先に帰ったのかな。


オレ、確か、ポツンと残った。
その時、『最後の恋人』って歌ができたの。

「アィ・ウォント・ユー・・・」とか。


オレは、てめえの女房がいる川崎に帰ったよ。
「すみ子、今日、オレ、全部終わったよ。
全部終わった。
もう、まったくひとり、残った」


成りあがり


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