『物価高対策・各種支援』
『物価高対策政府介入の違和感』

『ジレンマ抱える財務省』

『物価高対策世界と比較』

『原油130ドルなら経常赤字16兆円』


【燃料高騰】


・石油元売りへの補助金支払いを延長、現在の1リットル当たり25円から上限引き上げ
・事業者間の燃料融通の枠組みや国のLNG調達・管理の関与強化

【中小企業支援】


・無利子、無担保融資を6月末から9月末に延長
・中小企業向けセーフティーネット貸付金利引き下げ

【低所得者支援】


・子育て世帯に子ども1人当たり5万円
・新たに住民税非課税になった世帯に10万円支給
・生活困窮者自立支援金の要件緩和、申請期限を延長

【省エネ・子育て】


・子育て世帯への省エネ住宅購入
・EVやFCV導入支援、充電・充てん拠点の整備
・食洗器導入→60万円 子ども未来住宅支援
・賃貸契約→敷金礼金タダ、割安家賃 特優賃
・宅配ボックス導入→60万円 子ども未来住宅支援
・エアコン導入→60万円 子ども未来住宅支援

・庭に植物植えた→50万円 生垣緑化助成金
・フルリフォーム→200万円 長期優良住宅化
・断熱リフォーム→120万円 断熱リフォーム事業
・新築購入→100万円 ZEH事業構築

『物価高対策政府介入の違和感』

1:持続可能性に疑問


日本がエネルギー資源多くを輸入に頼るが輸入価格の上昇は企業収益悪化か消費者の実質所得の減少をもたらす。

そのために補助金・給付金はわかるが今回の輸入価格の上昇は一時的なモノではなく、長期にわたりそうだが日本財政状況を考えると明らかに持続性を欠く。

2:長期的に見ると日本経済にマイナス。


輸入価格上昇に伴うコストアップそのものを打ち消そうとすれば価格メカニズムが機能しなくなる事が懸念され、世界先進国と日本の物価高差異は相当大きなものになっている。
資源価格上昇はその資源がより希少となった事を示すシグナルとなる。
企業・家計はシグナルに従って時代の要請に沿った効率的な経済構造を実現する事が求められる。
しかし、補助金は資源消費を促進している事になり民間部門における資源利用効率化の動きを遅らせる事になり脱炭素の長期的な流れに反する。

3:金融政策との整合性を欠く。


政府が物価高対策を考える時に日本銀行は依然としてデフレ脱却を目指して強力な金融緩和を続けています。
政府が物価高を抑えようとしている一方で日本銀行は物価を上げようとしているわけだ。

政策的不調和は内外金利差を拡大し円安を進める事で輸入物価の上昇をさらに大きくしています。

デフレ時代は終わった。
日本は価格メカニズムを活かしながら資源価格上昇にどう対応すべきか考えるべきだ。

『ジレンマ抱える財務省』

1:為替介入に対する国際社会の認識


米欧の先進国は2000年以降ほぼ為替介入していない。

大災害・テロなど危機的対応のみ例外という姿勢をにじませる。今は大規模金融緩和という日本政府の方針の結果、日米金利差が生まれ円安が進む基本構図がある。

介入について対外的理解を得るのが非常に難しい。

2:実効性の疑問
円売り介入は政府は短期証券を発行し、調達した円を売って外貨を買い入れる。お札をする日銀によるFB引き受けがあれば理論的には無制限の介入可能だ。
一方で円買いは外貨準備が原資だが現時点で167兆円が事実上の限度額になる。

3:政策疑問


政治の関心も国民にわかりやすい政策に傾き根源的な議論を欠くので補助金などバラマキ的要素が強い対処療法が並ぶ。

高成長とディスインフレをもたらした経済のグローバル化は終わりつつある。
利回り緩和修正を行うと利払い負担増。
財政出動は政府歳出膨張。
為替介入は欧米理解難しい。

全体ではプラスという評価を崩さない以上、円安批判が強まったとしても軽々に動けない。
参院選を控えて政策変更には政治的リスクも伴う。
原発停止により震災前は20%自給率は11%まで落ち込んだ。

 

『物価高対策世界と比較』


日本:原油高は元売り補助を4月末まで継続し、ガソリン減税も含め代替え案検討。
穀物などは調達先の多様化や飼料価格上昇の影響緩和。中小企業支援も円滑な価格転嫁や値上げの実現、資金繰り支援。困窮者対策としてセーフティネットの強化や孤独・孤立支援。

海外での対策


イタリア:家庭・工業向けにガス付加価値税を減税し、低所得者層の光熱費を割引
フランス:ガス料金変動を2022年4月末まで凍結し22年の電気料金の上昇幅を抑制
米国:バイデン大統領が省エネ投資などで家庭エネルギーコストを平均年500ドル削減

原油高対策、穀物・水産物などの食料安定、中小企業支援、国民生活の不安解消の4点を補助金や給付金は一時的な負担軽減にしかならない。
EV買い替え促進など将来の負担軽減につながる構造転換を進めるべきだ。
アメリカのように省エネコストを家庭で500ドル削減すると語るように、日本もその場しのぎ補助ではなく中長期の効果と需要喚起を狙って車や住宅の省エネ対策も進めるべき。

 

『原油130ドルなら経常赤字16兆円』


為替と原油の値段によって経常収支は大幅に変わるのだが。
仮に1ドル120円1バレル130円なら16兆円の赤字になる。
円安が輸出金額を増やして経常赤字を減らす効果が低下し、資源高と円安で国外に資金が流出する影響が大きくなる。
資源や穀物はドル決済が多く企業は手持ちの円を売ってドルを買っている状況だ。

日本はガソリン代金4300億円補助金を使う事でガソリン抑制は世界でもゆがみが突出している。日本の値上がり6%だが欧米は20%だ。
いつまでも補助金で財政支援は限界があるので物流費の高騰に悩む中小企業に絞るべきだ。
さらに温暖化対策に逆行しているという指摘もあります。
ドイツや英国はガソリン税比率は6割で日本は5割だからそこに補助も脱炭素に逆行する一因になっています。

中長期視点も欲しいモノだ。