【結果】ファン・フランシスコ・エストラーダ vs ジェシー “バム” ロドリゲス | ボクシング・ダイアローグ

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6月29日(日本時間30日)

フットプリント・センター:米アリゾナ州フェニックス

 

◇WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ◇

 

王者 

ファン・フランシスコ・エストラーダ

(34=メキシコ:44勝28KO3敗)

vs 

挑戦者1位/前WBO&IBFフライ級&元WBCスーパーフライ級王者 

ジェシー バム” ロドリゲス

(24=米/帝拳:19戦全勝12KO)

 

エストラーダは22年12月、元世界4階級王者 ローマン “チョコラティート” ゴンサレス(ニカラグア)とのラバーマッチ/WBC王座決定戦に判定勝ちして以来となる1年半ぶりのリング。

 

WBO&WBAフライ級とWBC&WBAスーパーフライ級で2階級制覇を達成し、今回は2期目のWBCスーパーフライ級タイトル初防衛戦。

 

対するロドリゲスは、22年2月に同じWBCスーパーフライ級タイトルを獲得したのち返上、昨年4月に1クラス下げてWBOフライ級王座を獲り2階級制覇、同年12月の前戦ではIBF王者 サニー・エドワーズ(英)を9ラウンドTKOで下して2団体を統一。

 

今回はフライ級王座を返上=もとのスーパーフライ級に戻し、かつて保持していたタイトルの奪還に挑む形。

 

ビッグマッチ志向に拘った末に、WBA王者 井岡一翔(志成)戦を捨ててこの試合を選択したエストラーダと、軽量級スター候補筆頭の1人・バムの一戦…

 

結果は ロドリゲスが 7ラウンド 3:00 KO勝ちで新王者。

 

試合当日の夕方~夜、一晩経った今朝と何度か動画サイトをあたってみたもののフルラウンドの映像はなく、DAZNのハイライトを観ただけですが… 

 

短縮した編集版からでも、期待に違わぬ好ファイトだったのがしっかり伝わって来た白熱戦。

 

序盤は概ね一進一退も、3ラウンドにサウスポーのロドリゲスの右フックでエストラーダがグラリ、ここは打ち返して凌いだながら続く4ラウンド残り40秒のあたり、バムのジャブからのワンツーが決まると、エストラーダは背中から倒れ込むダウン。

 

このピンチを乗りきったもののダメージはかなりありそうで、次の5ラウンドもロドリゲスが攻勢をキープ、しかし続く6ラウンド開始から10秒ちょっとのところでエストラーダのジャブからの右がヒットすると、今度はバムが尻餅を着くダウン。

 

ただダメージの色は見られず、苦笑いと共にすぐ立ち上がると再開後はエストラーダのアタックに応じ、打ち合って対抗。

 

そして迎えた7ラウンド終盤、鋭いパンチを交換する中でロドリゲスの左ボディアッパーが完璧なタイミングで炸裂、堪らず崩れ落ち横転したエストラーダはこの試合2度目のダウン。

 

悶絶しながらも前屈みの姿勢に体を起こしたエストラーダ、しかし苦悶に顔を歪めて再び転がり仰向けになるとそのままテンカウント、新旧交代を強く印象づける鮮烈なKO劇で俊才ロドリゲスが王座を奪還。

 

ロドリゲスの瞬間的なスピード&反応、といった要素がエストラーダのキャリアを上回り、総合力の意味合いではハッキリと差を見せつけていたイメージも感じられましたが… 何にしても文句なしのクリーン・ノックアウト。

 

希少性が高いアメリカ人の軽量級スター候補&既に多くのメディアのパウンド・フォー・パウンドにも名を連ね、更に帝拳のプロモート選手ということもあって、今後が本当に楽しみな選手。

 

なお、この試合の契約には再戦条項があるとのことで、試合後ロドリゲスはエストラーダが望むならリマッチに応じるとコメントすると共に、そうでなければ7月7日:東京・両国国技館で行われる同級の2団体統一戦、WBA王者  井岡 vs IBF王者 フェルナンド・マルティネス(亜)勝者との対戦希望を明言。

 

一方、キャリア初のKO負けを喫し王座陥落となったエストラーダは「自分が犯したミスはわかっている。アマチュア時代に、ボディへの左フックというまったく同じパンチを浴びて以来のエラーだった。次の試合ではそれを正し、再戦ではもっとアウトボクシングして疑いなく私が勝つ」と、早くもダイレクトリマッチを要請。

表面的にはさほど優劣差はなかったようにも見えた反面、キッチリ決着が着いた感もある内容だっただけに、再戦は今回以上に大きくバム有利の予想に傾く筈ですが… 正式に決まれば、また大きな注目を集めることは必至。
 

それをクリアすれば、井岡vsマルティネス勝者との3団体統一戦だけでなく、残るWBO王者 田中恒成(畑中)選手との4団体統一戦も現実味を帯びてくるため、個人的にはエストラーダにキッチリ引導を渡して、来年あたりの日本のリング初見参に期待。

 

 

セミファイナルはフライ級12回戦、WBC3位/IBF4位/WBA9位/前IBFフライ級王者 サニー・エドワーズ(28=英:20勝4KO1敗)vs IBFライトフライ級6位/WBC12位/前IBFライトフライ級王者 エイドリアン・クリエル(25=メキシコ:24勝5KO5敗1分)。

 

エドワーズは昨年12月、この興行のメインに出場したバム・ロドリゲスに9ラウンド終了TKOで敗れ、IBFフライ級王座を失って以来の再起戦。

 

クリエルは今年2月、IBFライトフライ級タイトルを奪取した相手シベナティ・ノンティンガ(南アフリカ)とのダイレクトリマッチに10ラウンドTKOで敗れ、王座奪回を許した一戦からの再起戦。

 

結果は エドワーズが 9ラウンド開始直後(=実質8ラウンド終了後)の負傷判定で 3-0(90-82、88-84、87-85)の勝利。

 

この試合はハイライトも観ていませんが、エドワーズが持ち味のチョコチョコ動いて軽く当てるスタイルでリードする中、6ラウンドに偶然のバッティングでエドワーズが左目上をカット、その傷に9ラウンド開始早々ドクターチェックが入ってストップ、という内容だった模様。

 

堅実で地味なアウトボックススタイルとは裏腹なビッグマウスのエドワーズ、しかし吠えるほどに空回りな感じで、地元以外で人気を得るのは極めて困難と思いますが…

 

今後もフライ級に留まるようなので、もしかしたらWBA王者 ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)選手への挑戦や、今月20日に行われるWBO王座決定戦:加納陸(大成)vs アンソニー・オラスクアガ(米)の勝者、フライ級に上げてWBC王座決定戦出場が濃厚と言われる寺地拳四朗(BMB)選手などとの対戦の可能性が出てくるかも?