よく言われるんですが「この業種って、接客のプロですよね」と。風俗のお仕事を長年やってきてる方の中にはこの言葉を何度も浴びているかと思います。
たとえばホテルマンやハイレベルなサービス職の方をイメージすると、確かに人対人のプロフェッショナルだと感じていただける理由も分かります。
マナー基準が明確で、研修制度があり、その基準を満たせば「プロの型」が成立する世界です。
でも私は、この仕事を一度も「接客のプロ」と思ったことがありません。そして自分でそう言って正当化しようと思ったこともありません。
なぜならこの職業は、現役プレイヤーのうちは履歴書に書くことも難しい。世の中の職歴の枠にすら入りづらいからです。
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■ 職歴には書けないのに、確かに存在する「人と向き合う技術」
肩書きは残らない。
経歴にも刻まれない。
それでも、この業界には他では得られない技術があります。
目の前のひとりの心の温度を読みとり、言葉にできない感情を汲み取り、安心できる空気をつくり、信頼を「体験」として受け渡す。そしてそれを何十回、何百回と積み重ねていく。
目には見えない信頼を、目に見えるサービスへ変換する仕事。他のどの接客業にも真似できない領域です。
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■ 「プロ」という言葉の背景には、無数の解釈が存在する
私たち講師にも、プロやベテランと呼ばれる人がいます。ただ、その定義は人によって全く違います。
「すごいテクニックを教えてくれるからプロだ!」という人もいれば、「この人の言葉は、自分の価値観まで見透かされるようで畑違いの説得力がある。だからプロだ!」という人もいる。つまり、「プロ」という言葉の背景には、評価軸が無数にある。
ホテルマンのように基準が揃っている世界とは違い、私たちの世界ではその基準が、講師の人生経験・思想・感受性によって大きく変わるのです。
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■ 【ここからが本音】
実は私は現役風俗嬢から足を洗ったあと、まさかこの業界で講師になる未来なんて1ミリたりとも考えたことがありませんでした。でも私は間違いなく女風の恩恵を受けた一人です。
女風という入口は、働く人にも、利用する人にも、さらには 「この世界を学んでみたい」と興味を持つ人にも、驚くほど多様なキャリアの可能性をつくります。
・講師としてセカンドキャリアに進む人
・自身の体験をもとに作家になる人
・カウンセラーとして歩み始める人
・SNSやnoteで発信者になる人
・自分磨きのひとつとして講習を受講する人
・経営や運営に進む人
・心理学やコミュニケーションの専門家になる人
こうした広がりを持つのは、実は女風だけなんです。男性用風俗の世界には、これほどの派生キャリアを私は見たことがありません。
この業界自体が負のイメージを持たれがちですが、実は想像以上に人間の可能性が広がる場所でもあります。
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■ 私が思う「プロ講師」とは、肩書きではなく姿勢のこと
だから私は、プロとは技術ではなく目の前の人にどう向き合うかという姿勢 だと考えています。
・相手の言葉の裏側を聴く
・感情と事実を分けて理解する
・必要なタイミングで必要な言葉を渡す
・自分の価値観で相手を矯正しない
・慢心しない
・誠実である
これらこそが、女性用風俗という世界で「プロ」と呼ばれる人の本質だと思うのです。
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■ 最後に
ホテルマンは「型を極めたプロ」
私たちは「人の内側に触れるプロ」
基準は違う。社会の枠にも入りづらい。
履歴書にも残らない。
それでも..誰かの人生には確かに残る仕事。
だからこそ私は、この世界に誇りを持っています。そして、この世界にしかない「広がり」を見てきたからこそ、講師としての道を選びました。
肩書きよりも、分類よりも、「人と向き合う覚悟」こそがプロフェッショナルの証です。
と思いながらこの12年間を過ごしている、ひとりの元風俗嬢です。
かえで