長野市山中で墜落し9人全員が亡くなった長野県消防防災ヘリコプター事故で、その死を悼むさまざまな記事が連日出ている。

 読売新聞38面では「帰り信じ入隊同意…妻『自慢のパパ』」という囲み記事に胸打たれる。全文、読者の皆さんに紹介したい。

 

 亡くなった消防隊員、高嶋典俊さん(37)の妻碧さん(35)が7日、長野県松本市の自宅で取材に応じ、「かっこいい夫で、自慢のパパ」と愛する人の死を悲しんだ。

 典俊さんはヘリでの山岳遭難救助任務を希望し、昨春、所属する松本広域消防局から県消防防災航空隊への入隊が決まった。「絶対に帰ってくる」という言葉を信じ、碧さんは入隊の同意文書に署名した。

 事故のあった5日、典俊さんから訓練の最終試験があるとスマートフォンにメッセージが届いた。「楽勝っすね」と返信すると、「ありがとう」の文字。それが最後のやりとりだった。

 長女(7)と長男(4)に父の死を伝え、笑顔の家族写真を3人で見て「パパに会いたい」と泣いた。そして、「これからも、寂しくなったら『寂しい』って言おう」と約束したという。

 

 何とも言いようのないつらい話である。この2人の子供たちの将来にご加護を願うものである。

 

産経新聞1面、「産経抄」でも次のような記述がある。一部紹介したい。

 

 長野県の山中で起きた消防防災ヘリの墜落事故で、消防隊員ら搭乗者9人全員が死亡した。ヘリは山岳遭難の救助訓練に入るところだったという。亡くなったのは、いずれも腕利きの「空飛ぶ山岳救助隊員」である。家庭にもどれば、「やさしい夫」であり、「子煩悩な父親」だった。

 平成22年7月、埼玉県秩父市の山中で、救助活動中に起きた防災ヘリの事故では、5人が死亡している。墜落したのは、レスキュー隊員がロープで遭難現場に降り立つ直前だった。なんと、過酷な仕事だろう。登山ブームに伴って、ヘリの出番は増えるばかりである。最近は「疲れて動けなくなった」といった、安易な救助要請も目立つ。

ずいぶん前に見た、ワイドショーの一シーンである。出演していた評論家が、登山者の遭難を伝えるニュースの原稿に異を唱えていた。「好きで山に入った人を犠牲者と呼ぶべきでしょうか」。殉職した「空飛ぶ山岳救助隊員」は、間違いなく人命を救うために犠牲となった人たちである。

 

その通りだと思いながら、事故で亡くなった人のお心を察する時、ご本人たちが一番、無念だったことだろう。

改めて心からのご冥福とご遺族にお見舞いを申し上げる次第である。