乙武洋匡氏から、私宛ての返答があったので、全文掲載したい。

 鈴木宗男氏への回答「政治家だからこそ、弱者への心配りを」

鈴木宗男 様

 3月20日付のムネオ日記を拝読いたしました。同時に、とても残念な気持ちになりました。政治家というのは、弱者に対して心を寄り添わせることが必要なのではなかったでしょうか。そして、私は貴殿に対してそれができる政治家であると信じてきました。

ダイヤ 母親は「なんの懸念も心配もせず」わが子を預けたのか。

乙武氏と駒崎氏に言いたい。「あなた方は見ず知らずの人に自分の子供をなんの懸念も心配もせずに預けますかと。

お答えします。私自身は、見ず知らずの方に自分子供を預けません。また、おそらくは多くの方もそうすることに抵抗を覚えるでしょう。しかし、私がこの問いに対してNoと答えられるのも、「夫婦ともに健在である」「近所に頼める間柄の知人がいる」「経済的に困窮しているわけではない」などの条件を幸運にもクリアしているからです。

ですが、世の中には様々な環境で生きておられる方々がいます。当然、「ひとり親で」「近所に知人などもおらず」「経済的に困窮している」方もいらっしゃるでしょう。もし私がそうした状況下だったら、それでも子どもを見ず知らずの方に預けることなく、日々を生き抜いていくことができるのか、正直、自信がありません。

 また、貴殿は「あなた方は見ず知らずの人に自分の子供をなんの懸念も心配もせず預けますか」と問われていますが、事件の被害者となった母親「なんの懸念も心配もせず」わが子を預けたとお考えなのでしょうか。もし、そうだとしたら、その浅慮に驚き、あきれます。

 子どものことが愛おしく、一時も離れていたくはないけれど、それでも生きていくためにやむなく子どもを預け、仕事に出かけなければならない親がどれほど多くいるか、貴殿はご存じでしょうか。そうした人々の声を、じかに聞いたことがあるでしょうか。彼女たちの苦しみに思いを巡らせたことがあるでしょうか。

子供は宝であり、かけがえのない存在である。にもかかわらず2歳としかももう一人8カ月の子供を3日間預けるなら身元やベビーシッターとしての信用等、念には念を入れて預けるのが普通で、どの親でも考えるのが当たり前でないか。

 ムネオ先生、おっしゃる通りです。「一般的には」誰もがそう考えるでしょう。ですが、政治家というのは、その「当たり前」をすべての国民に押しつけ、それができなかった者を断罪することが仕事でしょうか。むしろ、「当たり前」に生きることのできない人々の事情に思いを寄せ、彼らの苦しみに耳を傾け、そこに救いの手を差し伸べることが責務なのではないでしょうか。少なくとも、鈴木宗男という政治家は、これまでそうしてきたのではなかったでしょうか。

ダイヤ 政治家だからこそ、弱者への心配りを。

乙武氏と駒崎氏に言いたい。ツイッターとかではなく、顔を合わせて平場で話をしようではないか。無責任な評論家的な話は懲り懲りである。

 お言葉を返すようですが、駒崎弘樹氏はNPO「フローレンス」代表理事として、長年、病児保育の問題に取り組んでこられた第一人者です。また僭越ながら私自身も3年前より、認証保育園と認可保育園という2園の経営に携わっております。そうした意味で、ふたりとも、日々、育児と仕事を両立している保護者のみなさまの努力と苦労を間近で見てきている立場から発信しております。決して「無責任な評論家」として論じているわけではないこと、ご理解ください。

 長年、国政の場でご活躍されてきた氏に対し、親子ほど年の離れた私のような若輩者が物申した事でご気分を害したのであれば、お詫びいたします。ですが、弱者への心配りを忘れない政治活動を行ってきた氏だからこそ、今回の事件を「無責任な母親の愚行」で片づけてほしくなかったのです。「今回の事件は、あくまで氷山の一角であり」「同様の困難を抱えるひとり親は数多くいる」という認識に基づき、ぜひ政策面でのバックアップをお願いできれば、これほど心強いことはありません。

 ご検討、ご尽力のほど、何卒よろしくお願い致します。

乙武洋匡

 乙武さんにお返事します。
「また貴殿は『あなた方は、見ず知らずの人に自分の子供をなんの懸念も心配もせず預けますか』と問われていますが、事件の被害者となった母親は、『なんの懸念も心配もせず』わが子を預けたとお考えなのでしょうか。もし、そうだとしたら浅慮に驚き、あきれます。」とありますが、乙武さん、このお母さんは以前預けた時、「あざ」が出来ていましたと言っています。
そのような出来事があったのなら、なぜもっと慎重にしっかり調べてわが子を預けないのでしょうか。
乙武さんが私に言ったことをそっくり熨斗を付けてお返しします。
「子どものことが愛おしく、一時も離れていたくはないけれど、それでも生きていくためにやむなく子どもを預け、仕事に出かけなければならない親がどれほど多くいるか、貴殿はご存じでしょうか。そうした人々の声を、じかに聞いたことがあるでしょうか。彼女たちの苦しみに思いを巡らせたことがあるでしょうか。」とありますが、乙武さん、少し思いあがっていませんか。あなたは、あなたなりに様々な人と接してきたでしょうが、私は、あなた以上に多くの人に接してきたという経験と自負をもっています。
 継続は力と言われますが、私がいい加減な政治家だったら、もうとっくに消えてしまっています。
 天国と地獄を見てきた私は、誰よりも「政治は弱い人の為にある」「政治は声なき声をきく」を胸に刻んで生きてきました。あなたに言われる筋合いではありません。
 このお母さんがベビーシッターにお金を払い、2歳と8カ月の子供を預けた3日間、お母さんは何をしていたのかも気になるところです。
 乙武さんは、認証保育園と認可保育園の経営をしており、育児と仕事を両立している保護者の皆様を身近に見ており、「無責任な評論家」として論じているわけではないとおっしゃっておりますが、私も北海道で生まれ育ち、北海道では、離婚率が一番高く、札幌ではシングルマザーで頑張っている人が沢山おり、私も相談を受けたり、またアドバイスの機会もあります。
 それぞれの与えられた立場で生きている事を、私は尊重しても否定するものではありません。
 私は人としての心構え、人の道、親としての果たすべき役割は、誰しもが持っていなければならないと考えています。
 この2歳と8カ月の子供を預けたこのお母さんのテレビでのインタビューを聞いていますと、子供のことより自分の価値観で生きていたと受け止めた次第です。
 先ほども触れましたが、以前預けた時は「あざがあった」と今頃言うなら、何故もっともっと慎重にベビーシッターを選び、身元も確認しなかったのか、今尚、私は疑問に思います。
 乙武さん、「『無責任な母親の愚行』で片づけてほしくはなかったのです」とありますが、私は「無責任は母親の愚行」とは思っていません。それよりも、「母親としての心を持っていたのか」と言いたいのです。
 乙武さん、「鈴木宗男氏への回答『政治家だからこそ、弱者への心配りを』」とありますが、もう少し鈴木宗男をよく調べてから言って下さい。
 私は誰よりも、弱者と向き合い、接し、耳を傾けてきました。これからもより「声なき声をきく」「政治は弱い人の為にある」を実践して参ります。
 乙武さん、上から目線で一方的な物言い、乙武さんの人間性を疑います。あなたご自身もレストランで嫌な思いをしたのではないですか。
 私は、政治家として信念と魂をもってやってきましたので、これからも私なりの生き様をして結果を残したいと決意しております。
 どうぞ、ご指摘、ご叱声、ご忠告喜んでお受けします。そして私の思い、考えを伝えさせて戴きます。
 読者の皆さんも乙武さんと私とのやりとりで、ご意見、お考えがあれば是非お知らせください。
 朝8時発の飛行機で釧路に飛び、故郷・大誉地の彼岸法要に出席し、お参りをした後、北見市に向かう。
今日は、北見市議会議員選挙の投票日であり、私の秘書で北見市議会副議長の森部ひろし君の吉報を待つことにする。