【あらすじ】
仕事で疲れて帰ってきた主人公は、良からぬ夢を見る…
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ふと…目が覚めた。
辺りを見渡すと、周りには何も無く真っ暗で…窓1つ無い。でもって私は…唯一の家具である椅子に座っていた。
…最近疲れが溜まっていたからなのか、どうやら疲労困憊で椅子に座りながら寝ていたみたい。
そして、椅子から立ち上がろうとしたが…全身に痛みが走って全く立ち上がれない。
(痛みをこらえながら)…え?何で私、全身に傷跡があるの?こんな傷、いつの間につけたの?
寝る前に、こんな傷は無かったはずなのに…
…記憶に無い。いつ付けた傷なのかも分からない。実感出来るだけでも数箇所に傷跡が入っていた。ただ…背中だけ痛みを感じない、そんな気がした。
「お目覚めかしら?」
突然、椅子の後ろのほうから声が聞こえた。
何だろう…自分の声に似ているような、そんな感じの声。
「アナタは今、現実世界で眠りについている…まぁ、ただそれだけを伝えに来ただけなんだけどね」
…どういう事?じゃあ此処はいったい何処なの?
「此処はね…どこの空間からも遮断されたアナタの空間。誰も入って来ないし出る事も出来ない…特別な空間よ」
…意味が分からない。私はただの人間だし、そんな超魔術的なものも使った覚えはない。
「もう少し、分かりやすく言おうかしら…この空間は、アナタが無意識に作り出した空間なの。たとえアナタがこの空間に身に覚えが無くても…勝手に作り出される事があるの」
…なら、1つ問いたい。この空間を出る方法はあるのかどうか。
「この空間を出る方法…それは、アナタが現実世界で目を覚ました時」
…なら、今すぐ現実世界に行って私を起こしに行ってやるわ!
「(呆れたように)…ちょっと、さっき言わなかったかしら?この空間は、誰も入って来れないし出ることも出来ない空間だって。だから…」
…て、ちょっと…その手にあるモノ(鋭利物)は何…!?
「安心して。コレでアナタを刺すつもりは無いし、仮に刺したところでアナタが死ぬことは無い。コレは…外傷だけしか作れない特殊なヤツだから…」
…そんな事を聞いてるんじゃないわよ!そんなモノを持って何するつもりかって聞いてるのよっ…!
「まぁ、アナタはゆっくり目でも閉じててちょうだい。その間に、フフフ…」
…ねぇ、何でソレ(鋭利物)が私の顔に近づいてきてるの…!
くっ!椅子から動けないっ…!というより、痛み以前に金縛りのように身体が動かない…っ!
「まぁそう焦らないで。ちょっとチクッとするだけよ。それとも、フフフ…」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!………!(ハッと目が覚める感じで)」
再び目を開けると…そこはいつもの自宅のベッド。仰向けの状態で見る…いつもの天井だった。そして私は、全身から冷や汗が出ていた。
「…ゆ、夢だったの。気味の悪い夢だったわ…。」
ただ…いつもの中でも1つだけ違う事をしていた。
それは…寝る前に胸の上で両手を重ねていた事。
特に、これと言って病気とかを患っていたわけではないのだけれど…私は心配性が人一倍強く、不安がいつも以上に押し寄せていたみたいで…それで試しに胸の上で両手を重ねてみたの。
結果は…あの夢の感じ。
…いくら心配性だからって、胸の上で手や腕を持ってくるものじゃないわね…。
…と、そんな事を思い返していたら朝になってしまった。そろそろ仕事に行く準備でもしないと。…相変わらず全身が痛い…これだから朝は苦手だわ…。
そう思いつつ…冷や汗を流そうと脱衣場へ向かう。何も考えずに寝間着を脱いだ時、ふと鏡に映し出された自分の姿を見て驚愕する。
…寝る前、全身に切り傷って付いてたかしら?
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【あとがき】
夢の中にいる時の主人公は、現実世界でもう1人の自分の人格が暴走し…自身の爪で自傷行為をしているという設定です
