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【あらすじ】
100回目の開催の節目を迎える『全国大学マラソン』。各大学の代表がそれぞれの想いを背負って峠道を駆け抜けていく。
【人物紹介】
園場 祭華(そのば さいか)(不問)
実況。スポーツ関連の実況を数々こなしている。
囲野 駿実(かこの はやみ)(不問)
解説。自身も元マラソンランナーとして数々の記録を持つレジェンド。現在は、学生から社会人のマラソンまで、あらゆる大会を幅広く解説している。
速水 風太(はやみ ふうた)(♂)
東房(とうぼう)大学の代表ランナー。スタミナ度外視のスピードを持っており、序盤に相手の視界から消えるくらいのリードを作るランナーで有名。
先田 掛斗(せんだ けいと)(♂)
閃考(せんこう)大学の代表ランナー。終盤での仕掛け方が得意な事で有名。
尾生 秀一(おぶ しゅういち)(♂)
競来魅(おいこみ)大学の代表ランナー。周りのペースに飲まれる事無く、後半からじっくり上がって後半に周りのペースを搔き乱す戦法で有名。
【上演前の注意事項】
台本序盤~終盤付近まで、実況と解説の会話内容は3人に聞こえない状態です。中継を観ているイメージをしながら上演頂けると幸いです。
また、今作は生中継をイメージして作られている為、先読み防止で上演の際に台本URLは表に出さない(コメント等に載せない)ようお願いします。
また、不問の2キャラは男性口調で書かれている所もある為、女性演者の方が演じられる際は女性口調に変えて頂いても構いません。
【テンプレート用】
青春を駆けるは峠の如し(3:0:2)
作:無名の脚本家
園場 祭華:
囲野 駿実:
速水 風太:
先田 掛斗:
尾生 秀一:
以下、線内本文。
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園場:
全国の中継をご覧の皆様、今年もこの季節がやって参りました。『第100回 全国大学マラソン』。2日前には雨が降っていたのですが、今回も天候に恵まれ快晴。風もほとんどない、絶好の大会日和となりました。今回も、各大学から選出された猛者が一堂に介する大会となっており、し烈な争いが繰り広げられる事でしょう。実況は私「園場 祭華(そのば さいか)」、解説は「囲野 駿実(かこの はやみ)」さんに入って頂きます。宜しくお願い致します。
囲野:
宜しくお願いします。
園場:
さて、毎年の風物詩となった当大会。節目の100回目の開催となりましたが…囲野さんからみて、今年はどんな大会になりそうでしょうか?
囲野:
今大会では各大学から選ばれたランナーが集まっていて、例年以上に見ごたえのある大会になると思います。天気にも恵まれて、ランナーにとってはこれ以上ない条件だと思います。
園場:
それでは、今回のコースについて説明致します。
まずスタートから約5キロ間、緩やかなカーブが幾つもあるゆったりとした下り坂が続きます。5キロ地点では給水ポイントが用意されており、ここでの補給がカギを握ることも。その後、約2キロは平坦な道が続きますが、残り約3キロ辺りから急な上り坂が2キロほど続くため、ここを登りきるには相当なスタミナが必要です。残り約1キロになると再び平坦な道になるため、ここまで余力を残していたランナーが一気に仕掛けてくることもあり、先頭のランナーが十分にリードしていても、油断出来ない距離と言えるでしょう。
以上が今大会、約10キロのコースとなっております。
囲野さんとしましては、どのあたりがポイントになるとお考えでしょうか?
囲野:
そうですね。やはり終盤の残り1キロ辺りですかね。
園場:
最後に平坦になる1キロですね。
囲野:
その前にある約2キロの上りをどれだけのペースで登り切れるかが重要になってくると思います。そこからの1キロはある意味、根(こん)比べにもなるかもしれませんね。
園場:
そして今回の出走者ですが…囲野さんの注目選手はいらっしゃるでしょうか?
囲野:
そうですね…今回『先田 掛斗』選手の仕上がりが非常に良いと思いますね。
園場:
閃考(せんこう)大学の先田選手ですか。確かに普段の練習でも表情変える事なく安定した走りを得意としている感じはしますね。
囲野:
あともう1人…『尾生 秀一』選手にも注目ですかね。
園場:
競来魅(おいこみ)大学の尾生選手ですね。
尾生選手と言えば、力強い踏み込みが特長の選手ですね。
囲野:
はい。特に今回、後半に上り坂がありますので、そこでどんな走りをしてくれるのかが期待出来ますね。
園場:
あと、注目選手としましては…東房(とうぼう)大学の『速水 風太』選手も台風の目になりそうな気がしますね。
囲野:
速水選手の武器でもある、大逃げタイプですね。前半は大量リードを作り出すと思いますが、上り坂を登りきるまでに体力が持つかどうかが心配ではありますね…。
園場:
そして今大会の最速記録は…30分02秒。
果たして30分を切るランナーが現れるか…注目です。さぁスタートの合図まで残り1分ほどになりました。各選手、スタートの位置につき始めます。節目となる第100回大会、優勝するのは果たして誰になるのでしょうか?
速水M:
この日の為にトレーニングとレースの対策は十分にしてきた…誰にも前を譲らずにゴールしてみせる…!
先田M:
今回の大会も、各校から集った猛者ばかり…
それでも臆することなく、必ず勝ってみせる…!
尾生M:
今までの成果を発揮する時…自分のペースでレース運びをすれば必ず勝てる…!
園場:
さぁ、スターターが開始の銃を掲げ…
【発報】
今、号砲が鳴り響き、各選手一斉にスタートしました!さぁ早速、速水選手が先頭に立ち、一気に後続を突き放しにかかります!
速水M:
序盤から一気に突き放して、終始大差をつけて勝ちに行く…これが俺の勝ち方だ!
尾生M:
おいおい…端っからとばすのかよ…いや、俺には俺のペースがあるんだ。今は無理に追わないでおこう…
先田M:
くっ…いきなりあんなペースで…惑わされるな。今追ったら絶対ペースが崩れる…この位置とペースをキープだ…
園場:
さぁ先頭の速水選手が一気に後続を突き放し、集団に乱れが出始めています。
囲野:
先頭の速水選手は、恐らく後続のペースを乱す作戦でもあるでしょう。集団の中でも2番手争いがだいぶハイペースな感じがあります。…個人的には、最後方の尾生選手が気になりますね。
園場:
確かに…その集団からも漏れるかのように最後方にいますね。
このペース、大丈夫なのでしょうか?
囲野:
これは作戦でしょう。普段から尾生選手は前半は後方に控えて、後半で一気に仕掛けるタイプだと伺ってます。それに、坂路を日頃から走って鍛えているそうですので、他の選手が疲れてくる機会を伺っているのかもしれませんね。
尾生M:
そう…無理に追う必要はない。今はゆっくり追う形で構わない…最後に笑うのは…この俺だからな。
園場:
そして今回、注目選手でもある先田選手。
現在集団に埋もれている感じとなっておりますが、この状況どう見ますか?
囲野:
位置取りに少々苦戦しているように見えますが、これでもペースは安定していますね。先田選手は変に周りに惑わされる事無く、安定した走りを得意としていますので…まだ序盤ですので、現時点では問題ないかと思います。
先田M:
…何か、マークされているかのように囲まれてるなぁ。…まぁ、集団のペースは悪くないからこのまま行くか。いずれ活路が見出せると思うし。
園場:
ここで映像が変わりまして…1号車です!
先頭の速水選手、早くも1キロ地点を通過しました!
区間記録は…2分1秒!?
こんな記録、今まで見たことがありません!
囲野:
凄いですね。これだけ飛ばしたら疲れが出始めるものですが…もしかしたら下りに強いのかもしれませんね。
速水M:
へへっ…俺の強みは、全速力で後続を一気に突き放す事!それに下り坂とくれば…一気にペースを上げれる!このペースで一気にぶっちぎってやる!
園場:
そして映像変わりまして2号車です。現在2番手の有川選手が通過…記録は2分46秒。先頭の速水選手とは45秒離れているタイムとなります。
囲野:
速水選手のペースは衰えておらず、それでいて有川選手は息が乱れ始めていますので…差はまだまだ広がると思います。
園場:
そして、奥のほうから見えてきました。
3番手で前に抜けていた林選手がここで6人集団に追い付かれ7人集団となりました。1キロを通過し、概ね3分2秒。2番手の有川選手とは約15秒離れているタイムとなります。
囲野:
林選手も速水選手にペースを乱された感じになりましたね。既にアゴが上がっているので、集団のペースに呑まれ過ぎないように息を整えたいところですね。
先田M:
おや?前を行ってた1人と合流したなぁ…しかもこの人、既に息上がりまくってるし…この様子だとすぐに集団から置いてかれるな…
園場:
そして映像バイクです。最後方の尾生選手が1キロを通過していきました。区間記録は…3分14秒。先頭の速水選手との時間差はおよそ1分15秒の差となりました
囲野:
だいぶゆったりとしたペースですね。
…とはいえ、後半ペースを上げてくるスロースタータータイプですので、まだ彼の中では許容範囲だと思われます。
尾生M:
ん~ここで1キロか…まぁまだこのペースでいいかなぁ。なるべく無駄に体力を使いたくないし、給水ポイントまではこのくらいのペースでっと…
園場:
さぁ画面切り替わりまして…1号車です!先頭の速水選手、早くも2キロ地点を通過していきました!1キロ間の記録は…2分5秒!!若干ペースは落ちたものの、まだハイペースの走りを続けております!
囲野:
ほとんどペースは落ちてないに等しいですね。特に今の区間はカーブが多い峠道ですので…もしこれが直線の下りとかでしたら区間記録を2分を切ってきてもおかしくないと思います。
速水M:
よし…カーブの多い下り坂は越えた…ここからは緩やかなカーブが続くからさっきの区間よりも飛ばせるはずだ…!まだまだ飛ばしていくぜ!
園場:
さて、映像切り替わり2号車です。2番手の有川選手、もうすでに息が上がっております!2キロ地点目前にして既にペースが乱れております!…と、その後方から集団が見えてきました!先田選手のいる集団が徐々に有川選手に接近してきました!まず先に有川選手が2キロ地点を通過…区間記録は、3分10秒。先程の区間からずいぶんペースが落ちました。その後、6人集団が概ね3分3秒。ほぼ同ペースを維持しながら通過していきました。
先田M:
囲野:
有川選手は完全にペースが乱れてますね。このままですと、集団に入るどころかあっさり追い抜かれてしまいそうですね。…あ、映像変わりましたね。
園場:
これは…!1号車、速水選手です!速水選手が3キロ通過!区間記録は…2分3秒!まだペースは落ちません!それどころか…先ほどの区間よりもペースが上がっております!
囲野:
素晴らしいですね。3キロ地点でもペースが落ちておらず、それでいて息も乱れていない…
とんでもない選手が現れましたね…
園場:
映像変わりまして3号車です。集団から遅れて林選手が2キロ地点を通過していきました。区間記録は、3分16秒。集団とはおよそ15秒も離れてしまいました。
囲野:
林選手もまだ息が整いきれず、完全に遅れてしまってますね…。最初は速水選手に追いつこうとしたのが完全にペースの乱れとなってしまい、ハイペースになりすぎてしまいましたね。
囲野:
まだ2キロは序盤なのでしょう。ここはじっくり足を溜めておく考えなのかと思います。
尾生M:
ここで2キロ…いや、まだだな…
下りが続くし、ここは我慢だ…
園場:
さぁ映像変わりまして1号車です。
なんと!速水選手、早くも4キロを通過!
区間記録は2分2秒と全くペースが衰えません!
囲野:
恐ろしいほどハイペースですね。この下りがあと1キロほどありますが、このあとの後続が後半で追いつけるか…気になる開きです。
園場:
映像変わりまして2号車です。6人集団が3キロ地点を通過しました。区間記録は3分3秒。安定した走りが続いております。
囲野:
ここの集団は下りではそこまで前に出ようという感じは無さそうですね。もし誰かしら仕掛けるのでしたら給水後とかではないでしょうか。
園場:
なるほど…おっとその後ろから有川選手が3キロを通過。区間記録は3分19秒。まだペースは上がってきません。
囲野:
ペースを崩された影響がまだ残ってますね。下りは勢いに任せて走ったりしますと息を整えるのが上りより難しいですからね。
園場:
確かにそうかもしれませんね。…と、映像は3号車です。…なんと、尾生選手が林選手に追いつきそうです!林選手が先に3キロ地点を通過するも、その差は概ね1秒!差は無いに等しいです!
囲野:
なかなかペースを戻せない林選手に対して、自身のペースを貫いている尾生選手が来ましたね。
園場:
そして数十メートル先で尾生選手が9位に浮上しました!尾生選手、ここで順位を1つ上げました!…と、映像変わりました。1号車の速水選手です!早くも5キロ地点を通過!区間記録は…2分4秒!スタートから10分15秒で5キロを爆走!とんでもない記録が出るかもしれません!そして給水ポイントで補給しました!それにしても囲野さん…他の選手が4キロ手前の中、速水選手だけが1キロ以上先の5キロを通過…驚異的ですね!
囲野:
いやぁ~圧巻ですね!ここまで息も安定していて顔色1つ変えず駆け抜けてくるとは…『下り坂の申し子』と言っても過言ではないですね…
速水M:
(給水)…ふぅ。これで大量リードを作れたはず…あとはこのまま逃げ切るのみ…!
園場:
映像変わりまして2号車です。映像は2位グループの6人集団がまもなく4キロ地点を通過する所です。現在ゆったりとした下り坂を淡々と集団が駆け抜けていきます。今、集団が4キロ地点を通過しました。区間記録は…3分4秒。果たして集団から抜け出すのはどの選手になるのでしょうか?
囲野:
集団の各選手は、下り坂での過剰な体力消費を抑えたいのだと思います。まだしばらく動きがない気がしますね。
園場:
お?!映像1号車です!速水選手、6キロ地点を通過!区間記録は…2分27秒!ペースは落ちましたが、それでもハイペースを維持しています!
囲野:
次の上りに備えてペースを落としたと考えられます。それでも早いですね…
園場:
映像、3号車に変わりました。有川選手、ようやく4キロを通過…!?…その後ろ、尾生選手の姿が見えてきました!さらにその後ろに林選手の姿も見えますが、尾生選手に追いつく事が出来ません!
囲野:
尾生選手は決して無理して走っているのではなく、林選手と有川選手のペースが乱れている状態ですからねぇ…この2選手は何とか息を吹き返したい所です。
尾生M:
ん?8位が見えてきたか…ずいぶん息が上がってるように見えるけど…まだこっちは本気出してないが、5キロ地点までには抜けそうだな…
園場:
果たしてこのまま速水選手が独走のままになるのか、それとも集団のいずれかの選手が一気に抜け出すのか、はたまた後方から追い抜いてくるのか?『第100回 全国大学マラソン』、現在先頭は速水選手の6キロ通過となっております。
【後編へ続く】
