名作、しかし超有名ではないアルバム(のはず)

名作、しかし超有名ではないアルバム(のはず)

誰もが知っているって感じでもなく、知られざる名盤って感じでもない、その中間あたりのアルバムを紹介するジャケット写真とレビューみたいなもの
※ITネタが続かないので続きそうなネタに変更しました。

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$名作、しかし超有名ではないアルバム(のはず)

私はカントリー・ロックの雄、グラム・パーソンズの熱狂的なファンではありません。
私の好きなバーズや、ローリングストーンズのナンバーでも1,2を争う、個人的に好きな曲「Wild Horses」との深い関わりのある男ということだったので、ソロアルバムを「お勉強」目的で購入しました。

最初は「なるほど、カントリー・ロックだな」程度の感想だったのですが、5曲目の「She」、これだけは最初から大好きになりました。音程が危うく、弱々しいボーカルのこの曲に、ミュージシャンとしての強い意志というか、表現者としての強さを感じたような気がしました。
この曲を聴くために、何度もこのアルバムを聴くうちに、アルバム全体に「She」と同じ物悲しさを感じるようになり、気がついたら、大好きなアルバムの一枚になってました。
多かれ少なかれ、誰もが持っている「悲しみ」をくすぐるアルバムだと思います。聴き手は、「悲しみ」に共感し、それを喜びの糧にすることもできますが、この作り手はそれができなかったのか、発売直後は商業的に成功を収めることができなかった本作とソロ第2弾を残して、麻薬の過剰摂取のため、26歳で亡くなってしまいました。
ちょっと悲しい話ですが、アルバムには楽しい雰囲気の曲も多く、サウンド、演奏は素晴らしいので、興味のある方は、聴いてみてください。
UKロック好きからの「超有名だろ!」って声が聞こえますが、一般的には超有名ではないと思います、はい。
どこが好きか?と聞かれれば、一言「情景が浮かぶロックミュージックだから」と答えます。

ベタですが、「Can you see the real me mother?」と歌われる「THE REAL ME」。これが歌物のトップバッター。
恐らく誰しもが一度は感じる客観的な自分、あるいは、世の中が求めるあるべき姿とリアルな自分とのギャップについて問題提起しています。
・・・と、まあ、42歳になった私が思い出す情景は、20代前半の大分。会社勤めしながら、自分自身の将来が見えず、逃避的にロックバンドをやっていたころです。

サウンド的には、シンセサイザーやブラスが多用され、重厚で、曲に合わせて時に温かく、時に冷たく響きます。
椅子に座って、じっくり聴くべきアルバムだと思います。

アルバムの世界観ですが、「CUT MY HAIR」の一節、Why should I care If I got to cut my hair?(なぜ、散髪に気を配らないといけないのですか?)が全体を包み込むテーマだと解釈してます。主人公は勤務先のホテルに行くにも、モッズ仲間との集会に行くにも、常に髪型を気にしているという空虚感、さまざまな葛藤。そんな中で生きていく主人公について、批評せず、ただただ音や言葉で描写しているというところでしょうか。
とにかく、私にとっては美しいアルバムです。

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好きな音楽のルーツを遡及して好きになった最古のアーティストがルイ・ジョーダンです。
ビートルズやキンクス→チャック・ベリー→ルイ・ジョーダンという流れです。
間にチャック・ベリーが入っているので、ビートルズを感じるところは少ないのですが、チャック・ベリーはルイ・ジョーダンを相当参考にしていたんだな、好きだったんだなということを感じる曲がたくさんあります。

11曲目の「エイント・ザット・ジャスト・ライク・ア・ウーマン」なんて、イントロはもちろん、ギターのカッティングのリズムもまんまです。
このギターはルイのバンドでギターを弾いていたという、ビル・ジェニングスなんでしょうか・・・と、また気にあるミュージシャンが増えてしまった一枚です。