
私はカントリー・ロックの雄、グラム・パーソンズの熱狂的なファンではありません。
私の好きなバーズや、ローリングストーンズのナンバーでも1,2を争う、個人的に好きな曲「Wild Horses」との深い関わりのある男ということだったので、ソロアルバムを「お勉強」目的で購入しました。
最初は「なるほど、カントリー・ロックだな」程度の感想だったのですが、5曲目の「She」、これだけは最初から大好きになりました。音程が危うく、弱々しいボーカルのこの曲に、ミュージシャンとしての強い意志というか、表現者としての強さを感じたような気がしました。
この曲を聴くために、何度もこのアルバムを聴くうちに、アルバム全体に「She」と同じ物悲しさを感じるようになり、気がついたら、大好きなアルバムの一枚になってました。
多かれ少なかれ、誰もが持っている「悲しみ」をくすぐるアルバムだと思います。聴き手は、「悲しみ」に共感し、それを喜びの糧にすることもできますが、この作り手はそれができなかったのか、発売直後は商業的に成功を収めることができなかった本作とソロ第2弾を残して、麻薬の過剰摂取のため、26歳で亡くなってしまいました。
ちょっと悲しい話ですが、アルバムには楽しい雰囲気の曲も多く、サウンド、演奏は素晴らしいので、興味のある方は、聴いてみてください。