睡眠を奪う、これが洗脳の第一歩であり、これで脳内だけに聞こえる声を信じるような素地が出来上がる。ここから工作員は対象者の脳内に妄想を作り上げ、何らかの工作へと対象者を利用する。このグアムのケースでは、最終的に対象者であった犯人が殺人事件を実行した。これは対社会的工作の一環であり、スパイが一般的に遂行している方法論でもある。

 

 ただし、殺人のような重罪を対象者に実行させるのは容易ではない。それは個々人の行動がそれぞれの倫理観で支えられているからであり、殺人を容易に正しい行為だとは思わない。それ故に時間を掛けて、この倫理観を乗り越えて行く。しかし、それが完了しても、犯罪は実行されない。

 

 ここで重要となるのは感情操作であり、攻撃性を高める必要がどうしてもある。その感覚はある対象を伴うと怒りの感情へと昇華し、それが更に強くなれば、どこかの段階で合理性を乗り越える。この感情も直接的に電波によって制御される。それはほぼ周波数の問題であり、特定の周波数帯を浴びせることで攻撃性が上昇する。

 

 電波操作による犯罪の場合、一般的に感情の爆発が見られ、それはこのグアムの事件にも当てはまる。彼は悪魔の声を信じ、永遠の地獄から一日の休息を得るために犯罪を実行している。しかし、彼の行動には明らかに感情の爆発が見られ、車を降りた後に周りにいる歩行者を刺し続けている。

 

彼は本来的に怒りの感情を持っておらず、悪魔とのディールだけでこのような行為を実行したはずである。それにも関わらず、そこには感情の爆発が存在し、この無関連性こそが電波操作の証でもある。

 

 同時に、攻撃が極めて計画的になる。ここに電波操作によって引き起こされた犯罪の二律背反性が現れる。感情が爆発して犯罪が実行されているにも関わらず、計画に沿った合理的な行動も現れている。それは実行犯の背後に別人がいるからである。工作員は入念に計画を準備しており、そうでなければ、実行者は犯罪を実行しない。完全にお膳立てをした上で、感情操作を通して最後のひと押しをする。

 

 グアムの事件が幻聴によってもたらされているのであれば、実行犯はそれほど沢山の人を刺したり出来ない。刺すという行為が続けば、そのうち攻撃性は低下してくる。それだけでなく、悪魔とディールしたのであれば、最初から攻撃性が生み出される余地はない。電波操作であれば、電波によって攻撃性を高められるため、犯罪を実行している間はずっと攻撃性を維持させられる。そして、グアムの事件では実際にこのような操作が行われているはずである。

 

 つまり、全ての現象は電波によって脳や体を操作するという技術で説明できる範囲のことであり、犯罪の二律背反性もその範囲の中で説明できる。