この犯人は銃撃事件を起こす直前に電波操作されていると気づけるほどに頭はしっかりしていた。それも単なる電波ではなく、正確に超長波の影響だと認識しており、当初のマイクロ波という仮説から遷移している。

 

一方で、工作員が電波洗脳中にELFだと言った可能性はある。それはこの問題が超長波によるものだと気づかせるためである。彼は最終的に射殺されており、この事件がどのような性質だったかを判断するのは難しいが、彼がELFによる電波被害を受けていると言ったために、多くの人にはこれが洗脳によって引き起こされた事件だと気付いている。そのような公表の仕方を取ることで、工作員側は彼らの力を暗に誇示する事も出来る。

 

 このように電波工作の対象者が電波操作の存在に気づくのはまれである。それは電波操作が一般的に隠されているからであり、そのような工作に気付かれないように実行されているからである。現実的に、僕は何十年も工作を受けていたが、その存在にすら全く気付かなかった。振り返ってみると、電波によって引き起こされた現象に行き当たるが、このような技術が存在すると知るまでは、それらの物理的な背景については考えず、ただ変な現象が偶然の結果として起こったと思っていた。

 

例えば、夜中に自分の意識がはっきりしているままに体の制御を失い、部屋の中を何十周も走り回ったことがあったが、酒に酔えばこんな現象も起こるのだろうと思っていた。それは2001年の話であるが、その時の記憶はあるものの、電波操作という発想すら思い浮かばなかった。

 

 それ以前に、工作員たちは何度も僕に幽霊の存在を信じさせようとしていた。何度もそのような話を振って、電波によって送信する声を信じさせようとしていた。ただ、僕は一切そういう現象を信じていなかったので、彼らの思い通りには行かなかった。これが工作活動の一環だと気付いたのもここ数年のことであり、20年近くの間、その背後の意味を考えたりしなかった。

 

 この声を信じるというのは極めてクリティカルである。内なる声だと、仮に電波で送ったとしても、いろんな考えの中の一つのようにしか感じない。一方で、神秘的な存在から届けられた声を信じてしまえば、簡単に洗脳に掛かってしまう。

 

 そして、実際に犯罪が実行されると、それは脳の障害がもたらした声であり、精神疾患のせいになる。とは言え、電波操作の場合は精神疾患とは違う特徴がある。それは犯罪が極めて合理的になる。工作員が合理的に犯罪を作り上げているからであり、かつ、そもそも精神疾患ではないからでもある。精神疾患で声が聞こえれば、その方向性が安定しないため、常に合理的思考が妨害される。だから、合理性が表れることはほぼない。

 

 電波操作を受けているのであれば、声が聞こえる状態であっても、脳は正常に機能している。この犯人の場合も超長波だと気づけるほど頭には合理性があったが、それでも最終的に銃撃事件を起こしている。それも洗脳されたままに海軍ヤードを襲い、無実の人びとを殺している。

 

 この工作を長期間受けていない人は洗脳なんて簡単に受けないと思っているかも知れないが、電波操作はかなり強力で、ほぼ抵抗できない。僕も彼と同じように銃撃事件の洗脳を受け続けていたが、なかなか抜け出せなかった。今では頭を冷やすことやその他の方法を組みあせることで犯罪を起こすような洗脳に落ちることはないが、そうでなければ、既に犯罪を起こして捕まっていると思う。