以下は「対少子化政策の論点」第9章から抜粋。

 

 

結婚率は目標とできるか?

 

結婚希望を結婚率の目標とすることには問題はない。それは半面において、強制性のないことである。しかし現実的には、結婚率を政策目標として掲げると、国家が個人の自由に関与しすぎることになる可能性はある。それは結婚相手がいる中で、子供の数を理想子供数に近づけることとは異なることである。結婚は独立した男女が前提となっている。それぞれの意思があって初めて成り立つことであり、国家がどれだけ結婚があるかを目標にすることに違和感はある。

とは言え、結婚率は合計出生率を構成する大きな要素である。対少子化政策上、全く無視するというわけには行かない。結婚率の目標を何%とすることはできないにしても、今よりも結婚率を上げるという程度の目標ならば、目標とすることは可能かもしれない。それは全体の結婚率だけでなく、若年層の結婚率においても当てはまるであろう。

つまり、結婚をサポートする行政的な支援は可能だということである。それぞれの施策は費用対効果で判断することができるであろうが、最終的な結婚率を何%することには多少の問題があり得る。現状の日本においてはまず考えられないが、国家が結婚に関与していると捉えられるようなことは避けるべきである。あくまでも結婚をサポートすることであり、結婚への機会を提供することであり、そしてある一定のレベルまでならば、それは行政ニーズを満たすものであり、広く受け入れられる政策となり得る。

 

現状の日本において、理想子供数が2.3-2.5の間にあるが、単純計算で言うと、日本の結婚率が80-90%にあり、それぞれの家庭が理想子供数を達成すると、合計出生率は人口維持水準を達成することになる。実際の女性の結婚率は80%よりも高く、実質的な問題は結婚率ではなく、結婚出生率の方にある。しかし、結婚出生率は晩婚化の影響を受けており、結婚の支援が意味するものは大きい。今後、生涯未婚者は増えていき、女性の結婚率が80%を切ることも想定される。結婚率が幾らというのは目標として持ちにくいとしても、その状況を把握することはでき、そこから一定の政策を導くというのは可能であろう。