以下は「対少子化政策の論点」第9章から抜粋。

 

 

結婚出生率=理想の子供の数

その分解された目標の一つが結婚出生率を理想の子供の数とすることである。理想子供数はいろいろな調査で問われているものではあるが、出生調査では長期に亘ってこの質問を続けており、一定の信頼できる数字が出されている。もちろん、テクニカルな問題もあり、調査結果は必ずしも日本の平均ではないかもしれないが、日本の現状を把握するには十分に利用可能なものだと思われる。

その理想子供数は2.3-2.5の間にあり、そのレベルであるならば、日本の結婚率を考慮しても、合計出生率は人口置換水準以上になる。結婚出生率を理想子供数にするというのは、それぞれの家庭を理想の家庭像に近づけるということであり、そこには強制性の問題はない。そして、多くの家庭が理想子供数に到達することができれば、合計出生率は人口置換水準を超えることになり、全体の政策目標と整合することとなる。

問題があるとすれば、理想子供数が人口置換水準に満たないレベルになったときである。その時において、結婚出生率を理想子供数にすることを目標とするのかどうかが更なる議論の対象となる。その状態であると、日本の少子化のスパイラルから逃れることができないからである。理想子供数は結婚開始年齢に依存しており、更なる晩婚化が進むと、人口置換水準から逸脱することはあり得る。ただし、現状においてはその問題はなく、当面の間は結婚出生率の目標を理想子供数とすることは合理的である。

ここで一つだけ付記しておくが、理想子供数は一定の値を持ったものである。それは2.3-2.5にある。しかし、それは単なる平均に過ぎない。それぞれの家庭がその2.3-2.5を目指すという意味ではない。それぞれの家庭の理想子供数が2.3-2.5というのは、それぞれの家庭が理想子供数を達成すれば、平均的に子供の数が2.3-2.5になるという意味である。つまり、子供を欲しくない家庭は子供を作る必要はないし、子供がたくさん欲しい家庭はたくさんの子供を作れば良い。それぞれの家庭の理想を足し合わせると、平均的な2.3-2.5になるということであって、全ての家庭が平均を目指すということでは決してない。

 

この結婚出生率を理想子供数とする目標は個別の政策へと変換される。それは待機児童の問題であったり、保育費の問題であったり、不妊治療であったりするものである。つまり、婚姻内の出生力をどうやって引き上げるかという個別の施策へと変換されることになる。そして、それらの個別の政策は出生力を押し上げたかどうかで政策効果を測ることが可能であり、この目標がそれらの政策の基準となり得る。また、それ以外にも一定程度の政策効果が見込まれる政策は結婚出生率を押し上げるか否かで

判断することは可能であり、追加的な政策実施の判断もし易くなるはずである。