「対少子化政策の論点」という本では最終的な政策の目標を掲げている。それは合計出生率を人口置換水準以上にすることである。それが達成できなければ、日本の人口は未来永劫減り続ける。

 

ただし、その目標は大枠過ぎて、実際に何をすれば良いかという点がぶれてしまう。そこで、その最終目標を達成するために、五つの違う数値を政策目標として掲げている。

 

1.結婚出生率を理想の子供の数にすること。

結婚出生率とは結婚した家庭の子供の数であるが、これをそれぞれの理想の家庭の子供の数と一致させる。計算上は、それぞれの家庭が描いている理想の子供の数を組み合わせると、人口置換水準以上の合計出生率になる。

つまり、それぞれの家庭はマクロを考える必要はなく、子供がゼロでも一人でも三人でも何人でもよく、自らの理想とする子供の数を持てば良い。現状の問題はそれぞれの家庭が理想とする子供の数を持てないところにある。その障害を取り除く必要があり、その問題点と方法論の詳細が全編に亘って書かれている。

 

2.収入に占める子育て費用の割合を下げる。

どのレベルにするかは議論が分かれるが、子育て費用を収入の10%か20%を目標にして、補助金でサポートする。根本的には保育費用が高すぎて、収入の20%以上も子育てに掛けている家庭が多数ある。これだと子供の数が増えないので、子育て費用の負担を下げる必要がある。

 

3.子供を産み育て易い国という評価を得る。

この数値は統計として取られている。そして、各国比較した場合、子供を産み育てやすいと思われている国の出生率は高い。だから、この指標を押し上げるような政策を導入する。如何にして子供を産み育て易い国だと認識されるようになるかという点についても、この本で詳細に論じられている。

 

4.男性の育児休業取得率

これは男性の育児参加というよりも、育児環境全体の改善をするために重要である。現在の企業社会では、男性中間管理職のほとんどが育児に参加しておらず、基本的に育児に対する理解がない。その結果として、働きながら子供を育てるのが難しくなっている。それを改善するためには、会社がもっと育児を支える状況を作る必要があり、それの前提になるのが、男性の育児休業取得率の上昇である。

 

5.待機児童をなくす

待機児童をなくすと言っても無理である。待機児童をゼロにするというのはシステムに負荷が掛かりすぎる。ここで主張しているのは3ヶ月以上の待機児童をゼロにすることである。そうであれば、追加費用が一番少なくて済む。

それに加えて、待機児童には季節性の問題がある。つまり、4月1日の待機児童をゼロにしても、11ヶ月間、待機児童になる可能性がある。その問題も同時に解決する必要がある。

 

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