警察組織にはいろいろ大きな問題があるが、そのうちの1つがOBの介入である。捜査情報の外部とのやり取りは以前よりは厳しくなっているが、有力なOBが警察組織自体に介入している状況は何も改善されていない。

 

 彼らはキャリア官僚の人事配置にも影響を及ぼしているが、それができるのは大物OBだけである。警察内部における大物OBとはほぼ元長官を指しており、それは彼らが過去において全ての決定権を握っていたからである。

 

 つまり、現役の幹部や長官は必ず彼らの下で働いており、その影響力は彼らがリタイアした後でも大きい。特に、警察は他の行政組織と違って政治の介入がより難しく、また、もともと上意下達の組織構造のため、長官OBは大きな影響力を持ち続ける。

 

 OBの中でも影響力が大きいのは裏工作ラインに属している公安出身の長官経験者である。公安の裏工作を根本的に理解していないと警察全体に影響を及ぼすのが難しいからであるが、それ以上に、彼らはリタイアした後でも裏理事官を通して、直接的に裏工作を命令できる。

 

 現実的に、この大物OBに該当し存命なのは漆間巌と山田英雄の2人だけである。安藤隆春もこの範疇に入るが、彼が現在時点の裏工作案件に積極的に関わっているようには思えない。

 

 山田英雄の前の大物OBが山本鎮彦であり、ここ数十年間で大物OBと目されるのはこの3人だけである。ただし、國松長官銃撃事件の時の漆間は長官官房の審議官に過ぎず、当時はそれほどの影響力を及ぼせる立場になかった。

 

 それでも、彼は如実にこの隠蔽工作に影響を与えているだけでなく、多くの電波工作にも関わっている。結局、ここ20年間の警察関連の最大の不幸は漆間巌を警察庁長官にしてしまったことである。

 

 彼が公安の裏工作ラインを抑え、更に警備局全体もコントロール下に置き、警察庁長官として警察全体を指揮する過程で警察の工作が左翼過激化していった。そして、長官OBとして警察人事だけでなく裏工作にも影響を及ぼし、官房副長官としても政治工作を行ったため、日本全体がおかしな方向に歪んでいった。