奥村萬壽雄は1971年に24歳で警察官僚になった。彼も東大紛争期の東大生であり、左翼的な影響を受けていてもおかしくないが、それ自体は確証できなかった。それよりも気になったのは、彼が電波工作を知っていた可能性が高いことである。

 

 以下の発言は2003年5月9日の衆議院の答弁である。

 

山内(功)委員まず、いわゆるパナウェーブのことについてお聞きをしたいと思います。

毎日、この団体の動静が報道をされております。例えば、観光の問題について見ても、彼らを見に来るやじ馬的な観光客以外には、もう気味悪がって観光客も足が遠のくと思うんです。

まず、いわゆるパナウェーブはどのような団体であると把握しているのか、お聞きしたいと思います。

奥村政府参考人お答えします。

御指摘の団体は、昭和五十二年ごろから活動を開始している団体でございまして、万物を統一している共存共栄の法則だという正法というものを主張しておりまして、片や反共産主義を標榜しております。

平成二年ごろから、左翼勢力が、電磁波の一種と彼らが言っておりますスカラー波というもので人類が滅亡するとか、あるいは自分たちを攻撃しているとかといったことを言っておりまして、また、平成六年ごろからは、このスカラー波を避けるために、数台あるいは十数台の車両で各地を転々とする活動を継続しておるものと承知をしております。

会員は全国で大体千二百人程度おると見られておりまして、福井、山梨、東京等にパナウェーブ研究所、あるいはエルアール出版等の関連の施設を持っておるところというふうに承知をしております。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000215620030509009.htm

 

 ハイライトした部分の答弁は複雑な文法構成になっているが、「電磁波の一種と彼らが言っておりますスカラー波というもので人類が滅亡するとか」という点に関しては彼の知識である。この答弁がなされた2003年時点で、彼はスカラー波を否定しているものの、電磁波自体は否定していない。

 

 と言うよりも、これは電磁波が人類に影響を及ぼせることを知っている人間の発言である。この意味するところは大きく、彼は公安畑の警察キャリアではあるものの、必ずしも裏工作ラインの出身ではなかった。

 

 彼の経歴を辿っていくと、1987年6月に神奈川県警警備部長になっている。実は、これは緒方盗聴事件が表面化した後に、前任の警備部長が辞めなければならなくなり、その後任として彼が登用された。

 

 緒方盗聴事件の本質が電波工作であれば、それを露見しないようにする後処理を行う必要があり、それができるのは電波技術を知っている人間だけである。つまり、彼がこの時点で電波工作を深く理解していた可能性が高い。

 

 彼が左翼過激化したかどうかは分からないが、彼の経歴の中ではもう1つ気になる点があり、それは彼も在外勤務の経験があり、ユーゴスラビアで一等書記官に就いていた。そして、ほとんどキャリアを内閣調査室と公安で過ごしているため、彼はほぼスパイとしてのキャリアを積んでいるが、このような経歴はCIAが狙いを定める対象者の1類型である。

 

 彼がどれくらい深くCIAと結びついているかも分からなかったが、彼のその後の経歴も含めて、CIAアセットの特徴が散見される。