全ての警備局長が電波工作を知っているかどうかは分からないが、ある時期以降の全ての裏理事官は電波工作を知っている。伊達興治と石川重明がほぼ間違いなくその技術を知っているため、それ以降の裏理事官も電波工作を知っている。それは1980年以降に裏理事官になった全ての警察キャリアが電波技術を知っていると言う意味でもある。

 

 と言うよりも、彼らが電波操作を利用した工作の立案計画実行を担っている。つまり、裏理事官が電波工作を知らなければ工作計画が作れないため、彼らは電波技術を確実に知っており、おそらく、事前に電波工作を知らなければそのポストにも就けないと思う。

 

 基本的に大きな政治工作や重要な対人工作はもっと高位の警察幹部が決裁をする。この警察幹部の中には警察OBが含まれており、そもそも現役の幹部が関わらない形で工作が実行されることもあるだろう。

 

 しかし、彼らは決裁するだけで、それ以上のことには関わらない。つまり、はっきりと命令が下されたとしても、計画は基本的に裏理事官の下で作られる。それが決裁されるという意味である。

 

 この工作の実行は更に違う人たちが担う。それはゼロと呼ばれる裏工作機関の構成員が行うものであり、彼らは通常それぞれの地域の公安警官として働いている。そして、都度ごとに必要な裏工作に徴用される。

 

 この仕組みを使えば、裏理事官のポストを確実に抑えるだけで裏工作を支配できる。裏工作ラインに属していない警察キャリアが警備局長として連れて来られたとしても、裏理事官さえ抑えれば、電波工作も裏工作も外部に漏れない形で工作が行える。そのため、何十年という期間において、社会一般に電波操作技術が理解されることはなかった。

 

 電波工作は裏理事官を通さなくても、特定の地域の公安幹部を抑えるだけでも実行できる。ただし、その場合は日本中の多くのポストを抑える必要があるので、日本全体で工作を行うためには非効率になる。そのため、日本の裏工作を支配するという意味では、この裏理事官という仕組みは良くできている。

 

 ちなみに、現役の警察キャリアの中で最年長の裏理事官経験者は石川正一郎である。