公安の対社会工作も対人工作と同じ経路で組織的に決定される。つまり、社会や重要人物に対する情報操作や被害を伴う工作においても、ゼロと呼ばれる裏組織で実行され、その計画を裏理事官が担う。

 

 暗殺にせよ、情報操作にせよ、公安が実施する場合は成功するようにプランが練られるので、思いつきで実行されたりしない。それぞれの職員は与えられた目的に対して、与えられた権限の中で工作を実行するのであって、全体像は裏理事官を含む公安の裏工作ラインのキャリア官僚によって決定される。

 

 公安は頻繁に犯罪者の逃亡を幇助しているが、その幇助はこの裏工作組織を使わずには実行できない。それ以外の組織を利用すると情報が漏えいするからであり、その犯罪者を追っている警察内の別組織に公安が何をしているのかが露見してしまう。

 

 これが意味しているのは、オウム逃亡犯を幇助したのがこの裏工作チームであることを意味している。

 

 このチームの構成員の大部分は何が起きているかは知らないが、それは情報を共有しないことによって、工作情報が露見することを防ぐためである。同じような構造はCIAを含めた他のスパイ組織にも見られ、公安や公安の裏工作チームだけが独特ではない。

 

公安の場合、この裏組織の工作と情報は裏理事官のところで集約されるになっており、オウム逃亡犯を作った当時の裏理事官が石川正一郎である。つまり、彼は公安がオウム逃亡犯を幇助したことを知っているだけでなく、そもそも彼が逃亡計画の立案実行を担わないと、あれほどの工作はできない。

 

裏理事官という彼の権限を考えると、彼は逃亡を指示していないが、彼はオウム逃亡犯を作った張本人の1人であり、警察庁長官銃撃事件の隠蔽を行った実行犯の1人である。

 

 そして、その警察庁長官銃撃はそもそも北朝鮮が行ったものであり、北朝鮮を司法の追及から守るために、銃撃を行ったのはオウムだという偽情報を作り上げた。当時は地下鉄サリン事件の直後であり、オウム犯行説は極めて尤もらしく、その上で、犯行の首謀者とした警察が名指しした平田信の逃亡を幇助することによって、彼の居場所を追及する以外の捜査を除外することに成功した。

 

 この事実が意味しているのは、警察内部に警察長官よりも北朝鮮を守るほどの北朝鮮シンパがいたことを意味している。そして、石川正一郎はこの工作を実行したことによって、北朝鮮からも信頼される立場になり、やがて、完全な北朝鮮シンパになる。