諜報機関の主たる活動の1つはアセットを獲得し情報を得る対人工作であるが、公安の対象者の全てがアセットとして獲得できるわけではない。アセット化工作が失敗した際には、彼らは違う方向性の工作を選択する場合がある。

 

 それが無害化工作である。つまり、社会的に無用な人間にするか、物理的に無害化する。物理的に無害化するとは対象者を殺すことであり、そこには暗殺も含まれている。このような工作も公安の裏工作チームが行う。

 

と言うよりも、それ以外の組織が犯罪を伴う大掛かりな工作を行う場合は露見する可能性が高い。裏工作チームはそもそもその露見が起こらないようにするため、秘密を保持できると思われる人間だけを集めて構成されている。

 

 一般的な諜報機関では、アセット化工作を担うのはフィールドエージェントであり、彼らは対人工作のプロで、そのアセットのネットワークを作り上げ、情報を得られるような基盤を作る。

 

 このアセットネットワークは諜報機関の活動のもう1つの柱である対社会工作にも利用される。つまり、対人工作と対社会工作は同じ基盤に成り立って展開される。この構造は公安も同じであり、裏工作チームが対象者をアセット化すると同時に、社会工作の計画立案実行も担う。

 

 裏理事官は警察庁本庁に在籍し、このような裏工作活動全ての管理を行う。つまり、対象者の選定やアセット化の決定及び、どのように工作を実行するかに関しても裏理事官が関わる。その対象者の社会的地位や工作の程度によっては裏理事官の決定権を越える場合があり、その際は、裏理事官がより高位のオフィサーに決裁を求めることになる。

 

 例えば、誰かを暗殺することになったとすると、おそらく、そのような決定は裏理事官の権限ではできないだろう。もっと高位のオフィサーが殺害の許可を出すはずである。

 

 ただし、致死的な工作は分からないように行える。つまり、裏理事官の権限の範囲の工作であっても、不慮の事故によって死んだと言えるような状態の工作を行うことは可能である。とは言え、それは一般的な暗殺計画の決裁とは異なる。