根本的な理解として、公安は諜報機関であり警察組織ではない。もちろん、組織上は警察に属しているが、彼らの目標は犯人を確保することではなく、治安問題を制御することにある。この差こそが警察機構と諜報機関の根本的な差であり、だからこそ、公安は諜報機関であって警察ではない。

 

 その諜報機関の活動の基本は対人工作と対社会工作である。対人工作とは対象者をアセットとして獲得することである。それは一義的には内部情報を得るためであり、警察内部ではその情報協力者をエスと呼んでいる。

 

公安の活動において、このエスはもっと違うレベルでも活用されており、その他の工作活動を行う際にも彼らは動員される。これも諜報機関においては一般的であり、スパイのアセットは情報獲得のソースであると同時に、工作を行う工作員にもなる。その意味でも、アセット自体が本質的にはスパイであり、彼らは単なる情報協力者ではなく、それもあってエスと呼ばれている。

 

 公安のアセットの大部分は左翼過激派か共産党員であり、それらの組織のメンバーをアセットにすることで内部情報を得ている。あるいは、それらのアセットを利用して、情報操作や実際の工作を行っている。

 

 その工作には他のメンバーを公安のアセットにする対人工作もあれば、公安の必要性が高まるように、プラン通りにテロを実行することまで含まれている。

 

公安が過激派のメンバーを捕まえてしまうと、このような形でアセットとして利用できないため、公安は逮捕という形を取らず、対象者をアセット化して治安を制御しようとしている。だからこそ、公安は警察ではなく、諜報機関に分類されるべき存在になる。

 

 このアセットは一元管理されている。それはどこの諜報機関でも同じで、CIAにおいても基本的にアセットは一元管理されている。もちろん、それぞれのエージェントが個人的な協力者を抱えている場合もあるが、そのような個人は本質的にはCIAのアセットとは見なされていない。

 

 アセットを一元管理することによって、アセットの重複を抑え、情報がマニピュレートされることを避けている。また、個人的な情報ネットワークに依存すると、組織行動全体が歪む恐れがあるため、常に本部から直接的にアセットをコントロールできる状態が維持される必要がある。

 

 公安もこのアセットの一元管理を行っており、それを行っているのが警察庁警備局警備企画課の裏理事官であり、ゼロと呼ばれている裏組織である。そのため、この組織がアセットを通した対人情報を集約すると同時に、公安による対社会工作の実行部隊になる。