自分がアメリカで働き出したのは2001年5月末であった。オフィスはニューヨークの郊外にあり、正確にはコネチカット州にあった。一部の金融機関はその辺りに拠点を持っており、自分もその金融のサブセンターで働いていた。

 

 911テロはその年の9月11日だが、その日も自分はそのオフィスにいた。テロが起こった時には既に会社にいたが、ローワーマンハッタンからは50キロほど離れているため、何が起こっているかは全く分からなかった。

 

ただし、ワールドトレードセンターに飛行機が突入した結果、そこがニューヨーク証券取引所のすぐ傍だっただけでなく、マーケットの一部機能も物理的に破壊されたため、その日の取引が行われないことは比較的すぐに分かった。つまり、深刻なテロが起きているという事実は実感としてすぐに分かった。

 

 実際には市場はそれからしばらくのあいだ開かれず、アメリカの歴史の中でも最も長い期間ニューヨーク証券取引所が閉まっていたはずである。第二次世界大戦の際においても、マーケットが長期に閉鎖されることはなかったため、金融市場にとって、911は経験したことのないような影響を与えていた。しかし、現実はもっと残酷で、それほど時間も経たないうちに、WTCの2つのビルとその隣にあったもう1つのビルが崩壊することになった。

 

 自分はアメリカに来てから数ヶ月しか経っておらず、あまりいろんなところに出掛けていなかったが、WTCには行ったことがあった。それは事件が起きる一週間前の話で、友達が来たのでマンハッタンまで会いに行った。その日は車で行き、ウォールストリートが見たいということだったのでローワーマンハッタンに行った。そして、WTCの前に車を止め、中に入るかどうかを2人で考えていた。

 

 結局、高いビルなら新宿にもあるので、わざわざマンハッタンで登る必要もないと言うことになって、そのまま違う場所に向かった。つまり、WTCには行ったが、実際には中には入っていない。

 

 その更に一週間前にはワシントンDCに行った。結果として、純粋な観光としてDCに行き、普通にホワイトハウスを見て、キャピトルヒルの中にいた。そして、その後に移動してペンタゴンが見渡せる塔に登ってニューヨークの郊外まで帰った。

 

 911テロでは飛行機が4台ハイジャックされ、そのうち2台がWTCに突入し、1台がペンタゴンに突っ込んだ。そして、残りの1台は途中で墜落したものの、キャピトルヒルを狙っていたと言われていた。

 

 つまり、自分は事件の起こる直前の2回の週末に亘って、911テロのターゲットを全て訪れていた。

 

 

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