実際に自分がスパイに落ちることはなかったが、スパイになった人たちがどういう経緯でスパイになったんだろうと考えることが頻繁にある。それは具体的にスパイのアセットをかなり知っているからであるが、その中には明らかに犯罪行為に落ちてスパイになった人もおり、ロンドンで会った人の中にもそのカテゴリーに入る人たちがいた。

 

 あるいは、もっと進んでスパイになった人たちもいるだろう。世の中にはスパイに憧れている人たちも沢山おり、自分がこの工作を受け続ける過程でそのような人たちも沢山見た。本質的にはアセットであったとしても、CIAやMI6のスパイという扱いになりたい人たちは多くいるはずである。

 

 おそらく、CIAやMI6は自分を観察した結果、普通に誘ってもスパイにならないことは分かったはずである。そもそも、自分はスパイ自体に興味がないが、それ以上に他の国のスパイになるという感覚を持っていなかった。

 

自分は普通の人以上に日本文化にコミットしており、海外に出たのは学問を継続するためであって、他の国に対して憧憬を抱いていたからではなかった。もちろん、全く違う環境で生きるのはエキサイティングで楽しかったが、他国に対して心酔することはなかった。

 

 それらが理解できれば、彼らがスパイであると自己紹介して近づくのは悪手であり、それよりは分からないように犯罪行為に落とすのが尤も手っ取り早い方法になる。ドラッグはイージーな方法であり、20代前半であれば好奇心から手を出す人は多いかも知れない。そして、ドラッグディーラーを利用すればスパイの痕跡が一切残らないため、自分に対してもその方法でアセット化を試みたんだと思う。

 

 そして、実際にこのドラッグ工作を除くとロンドンでは具体的な工作を受けた記憶はない。いろんなところで監視されていた記憶はあるが、これと言ってアセット化を目指すような工作は受けていない。

 

監視以外に頻繁にあったのは、突然、アメリカ人が話しかけてくることであり、今から振り返ると、そのうち一部はCIAだった。結局、ドラッグ以上の具体的な工作はなく、依然として、自分は観察対象のままだった。

 

 この監視には二通りの意味があり、1つは自分が危険なテロリストではないと確認するものであり、もう1つは自分をアセットして雇う必要があるかどうかを判断するものである。いずれにせよ、自分はスパイになることはなく、当初の目的の時間が過ぎたので日本に帰ることになった。

 

 

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