現在、日本は対外諜報機能を作りつつあるが、その組織は一般的な諜報機関を目指すのではなく、他のアジアの国と協業すべきである。

 

 まず、国外における対人工作をほぼ控え、テロリストや他国の官僚をアセット化するのを避けるべきである。これらのアセット化が行われる場合、基本的には本部で直接管理するはずであり、その管理機能を作らなければ予算も生み出されず、基本的にアセット化は起こらない。

 

公安は国内のアセットのリストを警備局警備企画課に所属する理事官の下で管理しているが、それと同じリストを作らなければ、基本的にアセットは管理できない。

 

 このアセット網が本来的なHUMINTと呼ばれるものであるが、これを作り上げるには何十年も掛かり、それを維持するのには膨大なお金が掛かる。にも関わらず、ここに何兆円も費やしても、結局はCIAのミニコピーにしかならず、劣化した情報しか得られない。

 

戦前の日本にはその諜報能力があり、特務がアジアで活動を行っていたが、そのアジアにおける能力は今のCIA以上かも知れない。結果として、多くの建国のリーダーを支援できたものの、それと同じくらいに特務は抑圧の機関となっていた。その2つの側面を持つという意味でも、今のCIAと特務の活動は変わらない。

 

 今の日本はもう一度この機能を持つ能力はないが、アジアの国は日本がそんな能力を持つことを求めていない。逆に言うと、だからこそ、日本が信頼されている側面がある。つまり、日本は本格的なアセット化を行っておらず、他国の状況を変えるような政治工作もほぼ行っておらず、そのために日本は危険な存在だとは思われていない。

 

 日本の諜報機関はこの延長線上に存在すべきであり、独自アセットの獲得を目指す必要性はない。そもそも、日本はアジア太平洋の政府と協業できる可能性を持っている。相対する政府との関係を強化し、その中で技術的に他国を補完することで、他国から情報がそのまま得られる。

 

それは諜報活動においても同じで、日本が補完的に他国の諜報活動をサポートすることで、日本にとって必要で重要となる情報は得られる。その場合、日本は独自ルートで情報は得られないが、その変わりに他国が持っている重要情報で、日本に関わるものは確実に得られる。独自活動を捨て、アジアの国々との協業を中心に据える中で、CIAでも入手できない情報を得られる可能性は十分にある。

 

 そもそも、日本の諜報活動の目標は他国政府をコントロールするところにはなく、自国の安全のための情報収集である。それだけのために、不必要にお金を掛けて巨大なスパイ網を作る必要もなければ、そのために他国からの信頼を犠牲にする必要もない。

 

 結局、日本は日本の治安を守ることと、他国政府をサポートすることで十分であり、独自情報も要らなければ、独自に海外でテロリスト対策をする必要もない。重要なのは日本政府が利用できる情報ネットワークを拡大することであり、他国の諜報機関と協業関係を深めることである。

 

特に、日本は多くのアジアの国々と協業できる可能性を秘めている。それが普通の二国関係の中で行えるのは日本だけである可能性が高く、日本の置かれている立ち位置を最大限活かすべきである。その中で、日本がブラッシュアップしなければならない諜報機能もあるが、それは国外のアセット網を築くことではなく、国外の諜報機関の補完的機能になるものである。