マニピュレーションされたとしても簡単に犯罪に嵌らないと思うかも知れないが、諜報機関の方法論はこなれている。彼らの方法論をちゃんと理解していないと簡単に彼らの技術に落ちる場合もある。

 

 ほぼ全ての犯罪者は小さい犯罪から大きい犯罪へと進む。正確に言うと、最初は犯罪でない行為があり、その延長線上にある犯罪へと進む。スパイの方法論もこれに沿っており、まず犯罪ではない行為の誘導があり、その延長線上にある犯罪へと進んで行く。対象者を落とす際に、スパイはこのエスカレーションをうまく利用する。

 

例えばインサイダーで嵌める工作を例にすると、最初はインサイダー情報を使わない。うまくリターンの出そうな合法的アイデアを対象者に伝え、そこで信頼関係を作る。そこから、小さなインサイダー情報を提供する。もし、その情報の内容がマイナーであれば、それは合法的なアイデアの延長線上のように感じる。しかし、実際のところ、違法は違法であり、違法と合法の線引きはしっかりと存在する。

 

その小さなインサイダーに嵌るとそこから情報は更にエスカレートし、確実にインサイダーの世界に入っていく。そこにどっぷりと浸かった後で諜報機関がその事実を突き付け、アセット化か刑務所行きを求める。その結果として、対象者は落ちる。

 

この場合は違法取引に移る時点で断固拒否すべきである。そこでしか止められない。それより先に進むと、軽くても重くても犯罪は犯罪になる。重さと軽さは最終的な量刑に影響を与え、そもそも起訴されない可能性もあるが、それでも社会的に抹殺される可能性は十分にある。これらを避けるためには、エスカレーションが起こる前の段階で留まるしかない。

 

この判断はどのような犯罪にも当てはまる。もし、それが誰かによって誘導されている行為であれば人間関係が壊れるとしても気にせず、違法行為に移る前に留まる必要がある。常に、違法と適法の線引きはあり、適法の範囲にいれば何の問題は起こらない。その誰かがスパイの場合、彼らはいろんな心理的な誘因を利用して違法行為に導こうとするが、結局、彼らがスパイであろうがなかろうが、そんな人間関係を大事にしても仕方がない。

 

世の中にはこの線引きが難しい事案もあるが、それでも十分に気を付ける必要がある。それと同時に、どこに線引きがあるのか、しっかりと事前に理解しておく必要がある。個別論点の法律のテキストを読めば問題の本質は分かるが、それや判例集を読まなくても、政府が出しているガイドラインだけで十分な場合がある。ある行為をするのであれば、事前にちゃんと行為の適法性を調べておく必要がある。

 

 普通に生きていれば、何が違法で何が合法かはそれほど気にしない。その反対側で、普通の人は犯罪をするものだとスパイは思っている。その犯罪が過去においてなかったとしても、将来において作ることもできる。その際に、彼らはエスカレーションをうまく利用して、精神的な障壁を下げながら犯罪の誘導を行う。

 

 

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