諜報機関はスパイの方法論についていろんな名前を与えているが、はっきり言って、それはどうでも良い。HUMINTやSIGINTと言ったりするが、それは彼らのセクショナリズムの問題である。工作活動に名前を付けると、活動範囲や業務範囲が生み出せる。

 

活動の名前とセクションが生まれると、それに合わせて予算の獲得を目指し、それがうまく行くと権限と装備が増やせる。もちろん、業務を遂行する上では名前は重要であるが、その名前に思考が縛られると諜報機関の思うつぼである。

 

基本的に名前は表象だけでなく、意味を同時に含んでおり、ある名前は常にその意味と同時に想起される。逆に言うと、名前をコントロールすることで、そこにある意味や感覚をコントロールできる。

 

例えば、HUMINTは、基本的に対人工作全般を指している。これはHuman Intelligecneの略語であり、英語では依然としてその語幹が残っているが、この名前を使うことで、諜報機関の活動から工作的要素が抜ける。ただ単なる情報収集手段のように感じる。

 

実際には対象者をアセット化しなければ取れない情報が多く、その場合は事前の段階で対象者に対するアセット化の工作がある。つまり、HUMINTはそもそも対人工作であって、それが情報収集のためであったとしても、本質的には違法な手段も含んだ工作活動を意味している。

 

そして、情報収集には常に反対側の工作がある。つまり、情報を収集するだけでなく、その同じ情報網は逆の方向の情報操作にも利用できる。それは社会的工作に利用されるが、それもHUMINTと呼ばれる方法論の中に含まれている。

 

しかし、HUMINTという言葉を使うことによって、そのような工作活動的な意味が消え、あまりにもクリーンな情報収集活動のように聞こえる。実際にはそんなことはなく、そこに違法な工作が多数あり、何としても対象者をアセット化するのがHUMINTである。

 

対象者を抹殺することもこのHUMINTの中には含まれる。相手を無害化することでも対象組織や対象国をコントロールできるからである。最初は対象者の社会的な抹殺を目指すかも知れないが、それでも足りなければ物理的に抹殺する。つまり、HUMINTの中には暗殺も含まれている。しかし、HUMINTの言葉の中からはそんな意味を汲み取れない。

 

いずれにせよ、アセット化から無害化への流れが対人工作の基本である。それは必ずしも情報取得のためではなく、更なる工作の足がかりにするためである。つまり、工作を続けアセット網を拡大することで、いろんな工作がすぐに行える状況を作ることが重要である。

 

 これらの活動をHUMINTと呼ぶとそこにある現実的な活動とかなり齟齬が生じる。実際には、その齟齬を生じさせることで工作活動がクリーンなように見えるが、本質的には対人工作活動であり、そこには多くの違法行為や越権行為がある。

 

 

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