スパイの活動は情報を得ることであるが、それは同時に、情報を流すことでもある。その情報は自国に有利になる内容であったり、状況を混乱させるための偽情報であったりする。この2つの諜報活動は情報を同じ経路のどちらの方向に流すかというだけの問題であるが、この経路は情報のやり取りだけに利用されるとは限らない。

 

基本的に、スパイは対象者をアセットとして獲得する。しかし、常にうまく行くとは限らず、かなりの長期間を掛けて対象者をアセットにすることもあれば、それができなければ相手を無害化することもある。

 

無害化するとは対象者を社会的に抹殺するか、物理的に抹殺することである。例えば、工作活動によって対象者に犯罪をするように仕向ける。それがうまく行くと対象者はアセットになるか刑務所に行くかの選択を迫られる。この場合、諜報機関にとってはどちらの選択でも構わない。どちらがより好ましいかはあるかもしれないが、いずれにせよ、対象者をアセットとして獲得できるか、刑務所に送れば無害化できる。

 

とは言え、このような工作は常に成功するとは限らない。そうなると、アセット化は諦めて純粋に無害化することもある。物理的に抹殺するという選択は暗殺を意味している。ただし、暗殺と言っても、現代的にはあからさまな暗殺は極めて限られている。

 

例えば、対象者を交通事故で殺す。諜報機関はそれをセットアップする能力を持っている。かなり手の込んだ手法を使うが、交通事故に見えるというよりはほぼ交通事故である。ただし、それは仕込まれているため、どうしてその事故に至ったかを丁寧に把握すれば、そこに工作の痕跡が残っている。とは言え、交通事故も必ずしも成功しない。工作があると理解し十分に注意すれば、交通事故による暗殺は防げる可能性がある。

 

次に、病気にさせるという方法である。薬物や毒物を摂取すればほぼ病気になる。薬物も毒物も入れられたことはあるが、どこで入れられたか分からないものが多い。薬物や毒物の場合はすぐに異常な症状が出るので、ほぼ当日か翌日に自分の行動を確認しているが、それでもどこに問題があったか分からないことが多い。

 

ただし、化学物質が体内に入ると特異な症状が出るだけでなく、証拠物質が体内に残るので露見する可能性が高くなる。交通事故以上に、その工作が暗殺の結果だとバレる可能性が高い。

 

また、自殺に追い込むという方法論もある。この工作には延長線上があり、それは自殺に見せ掛ける手法である。これもうまく嵌れば、暗殺だと露見しない。これらの手段を通しても目的を達成できないことはある。それでも、すぐに対象者を無害化する必要が生じれば、彼らはもっとあからさまに殺害する。つまり、いわゆる暗殺を実行する。

 

これらの全ての工作は時間やお金が掛かるだけでなく、露見しないように利用できるアセットを多く抱える必要が生じる。それぞれの工作を細切れにして全体像を分からないようにするためには、多くの人員が必要になる場合もある。これらの工作の過程に普通の人を利用できるため、工作に利用できそうな人材であれば諜報機関はアセットとして保持する。

 

 

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