諜報機関が対人工作活動を行うのは、基本的には、情報を得るためである。情報自体は盗み出すこともでき、その場合は対人スパイ活動の範疇に入らない。対人工作は対象者から直接的に情報を獲得することであり、そのような関係が築ければ、それは他の工作にも利用できる。それ故に、情報を取得することと工作活動を行うことは、常に、一連の活動となる。

 

 諜報機関が対象者を自らの影響下に獲得することをアセット化すると言う。アセットにはいろいろな種類があり、いろいろな呼び名がある。一般的には協力者やダブルスパイが有名である。協力者は他国政府の官僚のアセットで、情報獲得や工作活動に協力する存在である。一方で、ダブルスパイはその中でも他国の諜報機関に属している職員を指している。いずれにせよ、両方ともスパイである。

 

 諜報機関はもっと一般的なアセットも獲得しており、また政府機関外の情報提供者もいる。結局、諜報機関の対象は他国政府だけでなく、テロ組織を含む犯罪組織や、普通に活動している企業や経済機関も含まれており、その場合も彼らは内部にアセットを抱える。それぞれの状況と機能によってそれらの人たちの呼び名は変わるが、結局、彼らは諜報機関のアセットであり、諜報機関のために働くスパイである。

 

 一般的にはアセットは自分がアセットであることを知っているが、その中には本人が気付いていない場合もある。例えば、ハニートラップに嵌り、そのパートナーがスパイの場合がある。対象者はその事実に気付いていないかもしれないが、実際にはそのパートナーを通して情報が流れている。その場合は、対象者は既にアセットと認識されているが、本人にはそのような認識がない可能性が高い。

 

 一方で、自ら進んでスパイになる人たちもいる。その理由はいろいろだが、金銭的理由で情報を渡す人もいるだろう。情報提供者の中にはそれが生業となっている人もおり、それも1つの形式である。

 

また、ダブルスパイになってバーターで情報を得る人たちもいる。つまり、金銭的理由ではなく、他国の諜報情報を得たいがためにその国のスパイになる。CIAの情報網を利用できれば、その人は優秀なエージェントだと見なされ、その国で出世する可能性がある。その反面、そのような人物が国家の重要なポジションに就いてしまうと、情報漏洩だけでなく、国家の意思決定が大きく他国の政治工作に左右される。

 

 これらとは異なり、スパイになる意思はないものの、アセットに落とされる場合もあるだろう。例えば、ハニートラップの中には犯罪や非倫理的な状況に落とす工作もあり、その結果として、強制的に情報を提供させられる場合もある。

 

 もっと一般的には対象者を犯罪や事故に嵌める工作を行う。諜報機関が意図的に事故を仕組み、そこで事故を起こすと刑事罰と賠償金が待っている。それを免除する代わりにアセットになるように求められる。それに応じなければ、刑務所の中で暮すことになる上に、多額の賠償金を払う必要性が生じる。

 

 これが犯罪であれば、もっと大きな統制力を持つ。その場合は、もっと長期間に刑務所に閉じ込められる可能性があり、それを逃れるためにはアセットになることを選択する人が多いだろう。その場合は2通りのルートがあり、1つは犯罪を起こした人をアセットとして獲得することである。その場合は相手がアセットとして役立つと諜報機関が判断した時にのみ、アセットのオファーがある。

 

 それに対して、もう1つは最初から犯罪を起こすように諜報機関が誘導する場合である。その場合は諜報機関が最初からターゲットを絞っており、いろいろな工作を組み合わせながら、相手に犯罪をするように導く。それが成功すると、その後に刑務所かアセットの選択を迫られる。

 

 

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