大きな街を離れ、リゾート地の島に行ってもスパイの工作は続いた。どこに行っても、彼らが諦めないのはこの時点でかなり分かってきた。とは言え、小さな島になるとスパイの工作はより明らかになった。

 

大きな街でも嫌がらせはあったが、インドネシアに移ってからはそれほど激しいものはなかった。ただ、自分が周りの環境をよく理解していないため、人が多いと何が起こるか分からないという不安感は常にあった。それに対して、人口がより少ない場所に移ると工作機会が減るため、スパイの工作はより工作とはっきりし、目立つようになった。

 

 例えば、空港からホテルまでタクシーに乗ると、その30分ほどの距離の間に何度も事故に巻き込まれそうになった。理解のできない飛び出しが沢山あった。それはこの後の場所でも何度も続き、スパイの一般的な工作であることは分かったが、非常に危険であった。運転手は工作が行われていることを理解していたのかどうかも分からなかったが、いずれにせよ、そこら中からいろんなものが飛び出し、その度に急ブレーキで止まった。

 

 そして、ホテルに泊まっても状況は変わらなかった。ただ、準備ができていなかったのか、その日はビープ音が鳴らなかった。そこは現地資本のリゾートホテルであり、準備が整わなかったのかもしれない。一方で、そこではスパイが直接的に工作に絡んできた。いつものやり方で何かの話を仄めかし、自分を落とそうとしていた。

 

 彼らには独特のやり方があるようだった。そのような仄めかしの話をしながら、諭すような感じで自分を見つめていた。そこでいろいろ考えた結果、軽蔑の目で何分間もそのまま見つめ返した。彼らはそれに耐えられなくなり逃げていった。それと同時に、現地の従業員が笑っていた。つまり、彼らはそこにいるのがスパイで、自分が工作対象者だと知っていた。

 

 そして、場所によっては現地の人をうまく活用できないことを知った。その島は英語を喋れる人が少なく、それほど簡単に工作には活用できなかった。ガスライティングをしようにも、飛び出し等はできても、言葉を使う工作はかなり困難であった。そのため、スパイは自らで工作をする必要があった。

 

 ただ、同じような工作を何度も受けており、長い拷問を乗り越えてきていたので、訳の分からないやり方に落ちるような状況ではなかった。逆に言うと、彼らも追い詰められているのかと思った。あまりにも工作がうまく行かないため、自ら前面に立って工作をする必要に迫られているのかと思った。ただし、自分のこの認識は単なる勘違いであり、確かに、そこにいるスパイは取れる手段が限られつつあり、スパイであることが露見してでも工作を行う必要に迫られていたが、インテリジェンスサークル全体としては、それほど追い詰められている状況でもなかった。

 

 

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