東南アジアに行くことは決めても、どこに行けば良いかは分からなかった。少なくとも香港から直接アクセスができ、日本人はビザが不要という条件が必要だった。ビザが必要だったり、現地でビザを追加取得する必要性があったりする場合は、その場で追い出される可能性があり、その場合は日本に帰るしかないため、ビザの要らない場所に行く必要があった。

 

 実際にそれに該当する都市は15ヵ所ほどあり、次に、その中から首都を外した。首都は防備が強くその国の治安機関の人員が多数いるだけでなく、他国のスパイも沢山いるため、それ以外の都市を目指すことにした。そのスクリーニングで行ける場所は半減する。実際に、その残った大部分はインドネシアであり、そこには行ったことがなかったので、この機会に行ってみようと思った。

 

 そして、少し落ち着いてからシンガポールに入ろうと思った。とにかく、香港から離れることが優先であり、そうすれば拷問も落ち着くだろうと思った。このまま残っていると精神的にやられるだけでなく、いつ暗殺されるかも分からなかった。

 

そう決めると比較的速やかに香港を離れ、インドネシアへと逃げた。しかし、状況はそれほど改善しなかった。ホテルの部屋に入って少し経つと、やはり室内にはビープ音が鳴り響いた。それもひと晩中止まらず、朝までには精神的にも物理的にもぐったりした。

 

そして、朝ごはんを食べようと思って外に出ると、途中の部屋に怪しげな男性の集団が小さなテーブルを囲んで座っていた。それは明らかにスパイだったが、スパイは自分たちがそこにいることをあからさまに見せつけていた。

 

 そこには数日止まろうと思っていたが、予約は全て諦めて、違う場所に移動することにした。と言っても、次のステップをどうするかは難しい問題だった。まずは外資系のホテルを諦めて、現地資本のホテルに泊まることにした。外資系だからこそ、スパイの協力をしているのだと思った。

 

 しかし、実際に現地資本のホテルに泊まっても状況はあまり変わらず、やはりずっとビープ音が鳴り響いていた。問題の本質はそこではないようだった。要するに、スパイが工作しやすい状況が問題であり、それを解決する必要があった。

 

 そこで次に考えたのは小さな島に移ることであった。大きな街にいるとガスライティングに近いことが起こり、また、その場でネットワークを形成しているスパイも存在する。しかし、小さな島に移ると、そのような状況から脱却できるような気がした。

 

 

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