CIAのスパイ勧誘があった直後から、彼らが拷問に参加しているのはより明らかになった。それまでは上階の拷問部屋に出入りしているのは中国の諜報機関だけだと思っていたが、自分が香港に戻ってきた後はいろんな国の人が出入りしていることが分かった。

 

 それだけでなく、隣の部屋からはイギリス英語の愚痴が聞こえてくるようになった。キッチンが隣の部屋のベランダにほぼ隣接しており、そこに行くと隣からの声が聞こえた。その部屋には中国人が住んでいる体であったが、この辺りから、彼らはそういうカバーを気にしなくなってきた。そこで起こっていることは諜報機関の共同オペレーションであり、各国のスパイが入り乱れて工作を行っており、その中にCIAも中国の諜報機関も公安も含まれていた。

 

 そして、同時に共同オペレーションが昔から行われていたことにも確信が持てた。実家の近くの観光地を歩いていると、時々、中国語で自分のことを話している人たちがいた。一方で、英語ネイティブにはっきりと毒づかれることもあった。その時は、CIAの中に自分を憎んでいる人がいるんだなと思っていたが、この頃から、全てがCIAの主導による共同オペレーションであることに気付いてきた。

 

 つまり、自分が暗殺されそうになったのも、拷問をずっと受け続けていたのも、犯罪に落とされそうになったのも、えん罪に落とされそうになったのも、全ては彼らの共同オペレーションの結果であった。そして、この共同オペレーションはその1年前から始まったのではなく、もっと前から始まっていたことにも気付いた。ただ、依然として、どうして自分が対象者となったのかは分からなかった。

 

 それぞれの諜報機関は共同オペレーションを行っているが、依然として、独自の工作を行うこともある。つまり、公安は共同オペレーションの枠組みの中で工作を行っているが、その枠組みの外でも工作を行っていた。それは公安が独自に自分を対象者とした結果であるが、この一連の工作自体は共同オペレーションとして行われていた。

 

 いずれにせよ、スパイ勧誘を行ったため、彼らは共同オペレーションであったことを隠せなくなってしまった。そして、自分の勧誘がうまく行きそうにないので、これまでと同じように拷問を続け、また薬物を入れ始め、自分を精神的に追い込もうとした。つまり、バッドコップのステージに移った。最早、彼らはCIAであることもMI6であることも隠さず、中国の諜報機関も喜んで香港で共同オペレーションを行っていた。

 

 スパイの共同オペレーションは危険であり、どの政府にも彼らの工作を止められない。それは中国の諜報機関を抑える権限をアメリカが持っていないからであり、CIAの工作は中国の管轄外にある。つまり、共同で工作を行うと、彼らは政府から独立し、諜報機関の自己目的を追求するために工作を行う。

 

 その流れの中で、自分は睡眠を奪われ、拷問を受け、薬も入れられ、大部分を意識が朦朧とする中でまた暮すことになった。

 

 

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