この県警本部長は公安出身の準キャリア本部長であった。そして、この後に転居することになる地域の本部長も公安出身の準キャリアだった。両方とも自分がその地域に行くと決める少し前に本部長として赴任している。

 

ここには複数の意味がある。まず始めに、彼らがどれだけ電波工作について知っていたかという点である。電波工作は一部の公安職員しか知らなかったはずである。特に2012年の時点では、ほとんどの警官がまだ理解していなかったはずである。この時点では、警察の上層部の中でもどれだけ拡がっていたかは分からない。少なくとも、公安の裏工作部隊の中にだけ、この電波工作を行う人たちがいたはずである。

 

 彼らがその組織の出身であれば、彼らが電波工作を知っていた可能性は高い。ただし、自分はその答えは知らない。はっきりしていることがあるとすれば、公安畑の特定のラインの官僚が電波工作を独占しており、そのラインが彼を本部長として送り込んだということである。その結果として、警察庁の幹部官僚が直接的に公安職員を徴用できる範囲が拡がる。つまり、この本部長が電波工作を知っているかどうかに関係なく、警察庁警備局は現地の電波工作部隊を直接的に利用できる。

 

 問題は電波工作があると知っている方が全体の工作を行い易いのか、それとも知らない方が効果的に電波操作をできるかになる。その答えは分からない。彼は自分に対する工作の現場責任者であるが、少なくとも実家にいる頃は、電波工作は他の工作とは切り離されていた。

 

そして、次に重要になる点は彼が公安畑の準キャリアという所である。自分のオペレーションを担当することになったもう1人の本部長も準キャリアである。準キャリア制度の歴史がまだ浅いため、当時は準キャリア出身の本部長が歴代に3人しかいなかった。そのうち、2人が自分に対する工作の現場指揮を行った。

 

2人とも東大を出た公安畑のキャリア官僚ではない。もし、オペレーションが失敗すれば、現場指揮官は責任を取らされる。自分が実家に帰った頃の工作は完全に違法であり、拷問を含んでおり、その責任は現場責任者の県警本部長にある。特に、このような形で電波工作が表面化し、これが世界における大問題として取り上げられる日が来ると、その時点の本部長である彼らは逃げることすらできない。

 

しかし、そのポジションには東大出身のキャリア官僚ではなく、準キャリアの公安畑出身という最もコントロールし易い職員を配置している。もちろん、彼らが指揮を執って多くの違法行為を行った以上、彼らは責任から免れないが、この配置を計画した公安のキャリア官僚の薄汚さは理解の域を超えている。

 

このように全てが露見する可能性は最初からあり、その際のリスクを避けるために、自らの仲間である同質のキャリア官僚を采配することなく、最も利用し易く、消費し易い公安畑出身の準キャリアを配置している。

 

また、この人事を行った官僚は自らの行為が間違っていることも知っている。間違っているからこそ、キャリア官僚を配置しなかったのである。間違っていると思うのであれば、そのような人事をするのではなく、警察内部の間違っている行為を正すべきである。拷問が行われていることも、暗殺が行われていることも、頻繁に違法行為が行われていることも、警察の内部には深い腐敗があることも、全てに立ち向かわずに、準キャリア官僚をトカゲのしっぽのように切り捨てるためのポジションに配置することは優れた知性でもなければ、突出した技術でもない。

 

結果としては、そのようなキャリア官僚の多くもクビになっているが、この警察全体の仕組みはかなり腐敗している。準キャリアの本部長が自分自身のやった行為をどう思っているかは知らないが、それが警察のためであったとしても、警察上層部の指示であったしても犯罪であることには変わりない。ただし、本質的な問題は裏に隠れているキャリア官僚にあり、彼らの隠したがっている犯罪行為はそれ以上のものだからこそ、拷問や違法捜査程度のことを指示できたのである。

 

 

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