東京に帰ってきた当初の頃はSPが周りに沢山いた。彼らはずっといたわけではないが、東京にいる最初と最後の頃はほぼ自分の周りにいた。SPには身体的な要件があるため圧倒的に体格が良く、耳にイヤホンを着けているので、すぐにSPと判別できた。何度か話し掛けたが、無視されることはないものの返答が返ってくることもなく、どうして彼らが自分を監視しているかは分からなかった。

 

 と言うのも、当時は警察の組織がどういう風に構成されているかを根本的に理解していなかった。特に、公安とSPがどういう関係にあるかを理解しておらず、最初は自分に何か危険があるので、彼らが警備に当たっているのかと思った。

 

 ただ、あまりにもずっと付きっきりで監視されるため、一度巻くことにした。そうすると、今度は違うタイプの人たちも監視に当たっていることが分かった。とは言え、SPは傍にいたため、それが誰かを認識することは簡単だったが、それ以外の監視を担っている人たちは遠くにいるため、どんな人たちかがよく分からなかった。

 

 そこで、もう一度巻いて、今度は離れるのではなく隠れるようにして、彼らが自分の表に来るようにおびき出した。そうすることで、彼らがどんな種族か分かるだろうと思った。1人をおびき出すと、それは私服の警官だった。彼らは最終的に追い込まれるまで身分を明かさないので、何事もなかったかのように何とか振る舞おうとしていた。そして、途中にあった自動販売機で立ち止まり、ドリンクを買おうとした。

 

そうすれば、自分が立ち去ると思ったのかもしれないが、折角の機会だったので、じっくりと監視者を観察した。いろんな角度から確認したが、彼が警官であることは間違いなかった。尾行をする警官は基本的に声を出さないため、自分がどんな角度から観察しても、目も合わさず、何事もないかのように振る舞い続けた。

 

自分の感覚的には、相手は若手のキャリア官僚だと思ったが、その点に関して確信はない。ただし、彼が警官だったのと、この監視を仕組んでいるのが公安だということは分かった。30秒から1分近く50センチくらいの距離からなめ回すように観察して、自分に気付きながらも全く反応しないのは間違いなく警官だが、若手のキャリアと思わしき私服警官が捜査2課の中にいて、このような業務をするのは考えられなかった。

 

ここまでいろんなことがあったものの、自分が公安の対象者になっているという理解は、実はこの時点までなかった。自分は犯罪捜査の対象になっているのであり、また、そもそも犯罪事実が存在しないため、すぐに終わると思っていた。しかし、盗聴器の件にしても、この尾行の件にしても、公安が絡んでいるのであれば、もっと違う理由で自分が監視されていると思うようになった。

 

そして、もっと早い段階から公安が絡んでいて、香港で起こったことに関しても公安がそこにいたことを理解した。SPと公安の関係は理解していなかったが、公安が何をできるかは十分に理解していた。

 

 警視庁においては公安部とSPが所属している警備部は分離しているが、その他の道府県警においても警察庁においても、この両者は警備部や警備局の下にある。つまり、もともと公安畑・警備畑のキャリア官僚はSPを運用できる立場にあり、だからこそ、自分の監視にSPが利用されていた。つまり、SPが監視している時点で、本来的には、公安が自分に対する工作の前面に立っていることを理解する必要があった。

 

 とは言え、いろいろ試行錯誤した結果、公安が自分に対するいろんな工作をしていたことはこの時点で理解した。と同時に、これが犯罪捜査ではない可能性が高いことも理解し出していた。ただし、この時点ではまだCIAが全ての工作に絡んでいたことは理解していなかった。

 

 

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