牛肉には毎年1000億円前後のお金が流れているわけですが、ほとんどのお金は価格補償という形の補助金で払われています。


この仕組みというのは、基本的には、牛肉の平均売価があって、牛肉の平均コストというのがあって、その差額の大部分を補填することになっています。そうなると不思議になってくるのは、過去三年間で何故1000億円前後も掛かるのかということになります。


平均売価が平均コストよりも高いのであれば、補助金は一切掛からないことになります。ただ毎年1000億円近く掛かっているということは、ほとんどの時期で平均売価は平均コストよりも低いということになります。


と言うことは、この補助金というのは価格形成の中に組み込まれていて、本質的に平均売価は平均コストを上回らないということになります。何故、この構造が成り立つかというと、平均コストの中に労働コストを含めて、生産者のその他のコストが含まれているためで、その結果として、計算上は損が出ることになったとしても、実質的に生産者に手取りが出るように出来ています。


この仕組みはちょっと理解し難いです。完全に仕組みが形骸化しているので、本質的に仕組みを変える必要があります。


そこで考えなければならないのが、何のために、畜産業に補助金を出すのかということになります。一番最初に書きましたが、農畜産業振興機構というのは、畜産業の価格安定と畜産業の発展と国民消費生活の安定のために存在するということですが、この仕組みというのは、その目的のためには全く役立っていません。


そもそも価格の安定という目的自体が不必要に感じられます。自給率を目的にするんだったら、明確にそう書いた方が良いと思うし、そうであるあるなら、この機構にせよ、農水省にせよ、何のための政策かがハッキリすると思います。今のままだったら、ただ過去を引きずっているだけで、現状維持以外の方向性がこの機構に見出せないと思います。