【投資】利益を目的として資本を出すこと(常用国語辞典)。
利益とはすなわち、見返り、「リターン」のことです。このリターンを得るためには、様々な「心配事」がつきまといます。
例えば、A君が「自分に100万円貸してくれたら、1年後に110万円にして返す。」と言ったとします。あなたは、この投資話に乗るでしょうか。100万円が1年で110万円、利回り10%、この超低金利時代にめちゃくちゃ好条件です。
では、同じことをA君ではなく、三菱UFJ銀行が言ったとしたら(言いませんが)どうでしょう。間違いなく、10人中10人が投資するに違いありません。
いったい、この差はどこからくるのでしょう?
A君は、持ち逃げするかもしれないし、失業して返せなくなるかもしれない。最悪の場合、死んでしまうかもしれない。要するに心配なことがいっぱいあるのに対し、三菱UFJ銀行なら必ず払ってくれるという安心感、言い換えれば「信用」がそこにあります。
また、1年後ではなく、「1週間後に返す」という条件なら、A君に100万円預けてみようという人もいるかもしれません。つまり「期間が長い」ことはそれだけ心配の度合いが大きいということになります。
このように、「信用」や「期間」によって安心の度合いが違う。人は、不安なほど「リスクが高い」と感じより高い利益「リターン」でなければ投資しようと思いません。
不動産投資に置き換えると、おんぼろ物件や怪しげなテナントでは、心配で仕方ない(信用度が低い)ので、高い賃料をもらって短期間に資金を回収したい、ピッカピカの新築で一流企業がテナントなら、投資額の割にリターンがちょっと少なくても「まいっか」ということになるのです。
このリスクとリターンの見方、評価は人によって異なります。ハイリスク・ハイリターンの物件、ローリスク・ローリターンの物件への投資なら、合理的と言えますが、なかには、ハイリスク・ローリターンの物件に投資してしまう人もいます。
大きな損失を出して何とか取り戻したいと焦っているときに、通常ならやらないような博打に出てしまうことがあります。不動産であれば、営業マンの巧みな説明に、買いたい気持ちが先行して冷静な判断を見失ってしまったようなときです。残念ながらこれは、投資ではなく投機。「失敗への道まっしぐら」という結果になってしまいます。
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われます。株のように投資額の何倍も儲かることはめったにありませんが、大損することもめったにありません(損失が出ることはある)。ところが、人によっては、不動産投資が原因で自己破産することもあります。知識があれば防げたことかもしれないのです。
「不動産投資を学ぶ」とは、「リスクに対して適切なリターンを期待できる物件を見極める力」を身につけるということであり、自らが背負うことのできるリスク(リスク許容度)を知ることだといえます。