うお座 キーッ!


ウサギ ど、どうしたのかおるん?


うお座 新聞みてたら頭きちゃった。ほら、最近ひき逃げ事件がよく出てるでしょ。しかも、ひいたのを気づいてるのにそのままひきずるような事件。絶対許せないよ。


ウサギ そうだね。犯人は逃げることしか頭にないんだろうね。


うお座 ひいただけだって衝撃でわかるはずなのにさ、何かが車にひっかかってるなら、運転してて気づくはずだよね。それなのに、運転を続けてひきずるなんてひどいよ…。


ウサギ うん。だから、新聞にも書いてあったと思うけど、警察や検察も殺人罪で起訴することを念頭においてたりするんだと思うよ。


うお座 ご遺族としてもそうじゃないと気がおさまらないだろうね。

そういえばさ、この事件の報道でも出てきたし、よくきくことばだと思うけど、「未必の故意(みひつのこい)」っていうのは、一体どういう意味なの?

たまに難しいことばがでてくると、「ン?」って考えてるうちに次のニュースになっちゃうんだよね。


ウサギ うん。

専門的にいうと、「犯罪的結果の発生自体は確実でないが、発生するかもしれないことを表象しつつ、それが発生するならば発生しても構わないと認容している場合」を…。


うお座 ち、ちょっと待って!いまビックリするくらい頭をスルーした(笑)

そういうスルー系じゃなくて、もっとわかりやすいので教えて。


ウサギ えらい先生の本の言葉なんだけどな・・

まあ、簡単に言っちゃえば、もしかしたら悪い結果が起きちゃうかもしれないな、でもまあ起きちゃっても関係ないね、そんな感じだプー。


うお座 またずいぶんくだいたね


ウサギ わかりやすいでしょ。

ここはね、ことばの定義よりも、例を出して言ったほうがイメージがわきやすいと思うよ。

たとえば、ボクが「日頃のうらみ…かおるん覚悟!」って、殺すつもりでかおるん目がけて猛スピードの車を突っ込ませてかおるんが死んじゃったとするでしょ。

この場合、明らかにボクがかおるんの命をうばうつもりで行動して、実際にかおるんを死なせてるよね。これは、殺人の確定的な故意があるっていうんだプー。


うお座 むっくん…そんな風に思ってたのね。ショック!


ウサギ ここはたとえ話だから気にしないでプーよ。そんなこと思ってないプー。

次に、ボクが夜の街を100キロの猛スピードで運転してたとして、かおるんをひいて死なせちゃったとするでしょ。


うお座 あのー、死ぬ人替えてくれない? きいてるだけで痛いんですけど。


ウサギ わかったプー。じゃあボスをひいて死なせたことにするプー(笑)。

それでね、もしその当時、夜中で人影がないような状況だとしたら、「ボスを殺す」故意っていうのはちょっと考えにくいと思うのね。


うお座 さすがにそれはそうかも。それで?


ウサギ それでさ、そうはいっても、実際にそんな猛スピードで街を走ってたら、間違って誰かにぶつかれば、それだけで死ぬ危険がありそうでしょ。

しかも、もしその時ボクが自暴自棄になってて、「こんなスピード出してたらもし人にぶつかったら死ぬだろうなあ、でもそうなっちゃっても別にいいや」って思ってたらどうだろう?こんな場合まで、「間違ってぶつけて死なせちゃったよ、ごめんなさい」(業務上過失致死)で済ませていいかな?


うお座 それはずる~い! 許せないなあ。


ウサギ でしょ。だから、こういう場合も、たしかに具体的に人が死ぬことまでを意識してないんだけど、やっぱり殺人の故意があるっていうふうに考えるんだよ。

これが、かおるんの質問の「未必の故意」っていうことだプー。


うお座 そういう意味なのか。なるほどね。例できくと納得できるな。

でもさ、それだと、ぜんぶ未必の故意が認められて、過失っていう場合がなくなったりしないの?


ウサギ そういうわけじゃないんだよ。

実際の区別は簡単じゃないけど、たとえば、さっきの例でいうと、ボクが「こんなスピード出してたらもし人にぶつかったら死ぬだろうなあ、でもボクは運転うまいしそんなことは絶対しないぞ!」って思ってたとするでしょ。

その場合は、人が死ぬことを認めてるわけじゃないから、殺人の未必の故意もないっていうことになるんだよ(認識ある過失)。


うお座 そっかー、一応区別をつけられるといえばつけられるのね。

ただ、それだと、今度は言い逃れをする犯人も出てきそうだね。


ウサギ そうだね。

でも、やっぱり裁判官も馬鹿じゃないから、事件当時のいろんな証拠や状況を細かくみていって、これはさすがに未必の故意はあっただろうなって判断して、殺人罪の判決を出したりすることもありうるんだよ。

だから、言い逃れは難しいと思うプー。


うお座 さすが裁判官!

むっくんの話をきいてたら、未必の故意のイメージがわいてきたよ。

法律用語ってもっと簡単だといいのにねー。


ウサギ そうだね。勉強してると、そういう言葉も普通になっちゃうから、一般の人と言葉づかいで差が出ちゃうかもね。

裁判員制度も始まるし、裁判で使う用語もなるべく簡単にする試みもあるから、その差をどうするかが法律家の課題だね。

また何かわからない言葉があったらきいてね。


うお座 わかった! これならブログのネタにも困らないしねっ!


ウサギ シ、シーッ!



むくの木法律事務所

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