うお座 むっくーん!


ウサギ はいはいどうしたの? なんかゲームをクリアしたとか?


うお座 ちがうよ! 今日はまじめな相談なの。


ウサギ 最近は法律以外の話をすることが多かったからついつい…。どうしたの?


うお座 うん。最近さ、アメリカの景気問題の影響で、日本でもいろいろ倒産とか不況の話がでてきてるでしょ。


ウサギ そうだね。あのトヨタでさえ、09年3月の売上予想を下方修正したくらいだからね。


うお座 そういうこともあってね、私の知り合いが最近悩んでるんだ。


ウサギ 知り合い? どうしたの?


うお座 うん。その子はいま大学4年生で、就職先が決まってたのね。


ウサギ それはよかったね。おめでとう。


うお座 うん…。そうだったんだけど、景気が不安になってきてるでしょ? それでね、その子の会社が、「業績が悪化した」っていう理由で、突然内定取り消しを伝えてきたんだって。


ウサギ それはひどいね! 4年生のこの時期に急に取り消されても、もう就職活動はやめてるはずだし、たとえ今から探しても採用締め切りの会社ばっかりだろうからね。

もしかしたら何ヶ月も身分が不安定になりかねないね。


うお座 そうなの。しかも、その子は内定が出てからしばらくたった後の取り消しだったの。

だから、何か力になってあげられないかなあって思って。

むっくん、こういう場合ってどうにかならないものなのかな?


ウサギ うん。

かおるん、この前「試用期間後の採用拒否」っていう話をしたことを覚えてる?


うお座 覚えてるよ。たとえお試し期間の採用だとしても、会社が自由に本採用を断れるわけじゃないよ~っていう話だよね(http://ameblo.jp/mukunoki-blog/day-20081031.html )。


ウサギ そうそう。さすがかおるん。

かんたんにいうと、内定が決まった人も、その試用期間中の人と似たような保護を受けられるといえるよ。


うお座 そうなんだ! 具体的にはどういうこと?


ウサギ うん。内定が出た段階だと、まだ入社式や仕事なんてやってないから、もしかしたら自由に取り消せるって思う人もるかもしれないけど、ちがうんだよ。

最高裁判所もね、内定の通知や誓約書の提出があったときに、会社と採用予定の人との間で、契約を解約する留保つきで労働契約が成立するって認めてるんだよ。


うお座 へー。なんだか小難しいこと言っているけど、つまり、内定もらった人も契約関係にあるってことだね。


ウサギ うん。それでね、そのほかにも、いろんな具体的な状況から労働契約の成立を認めてる判決が出てるから、その知り合いの場合も、内定が出てからしばらく時間が経ってるっていうことなら、いろいろやりとりがあって、すでに契約が成立している可能性が高いんじゃないかって思うよ。


うお座 おー!もしそうなら、もう契約関係に入ってるわけだから、会社も自由に内定取り消しはできないってことだよね。


ウサギ そういうこと。

だから、問題は、会社がどういう場合に解約(内定取り消し)することができるかっていうことだね。

このことについて、最高裁判所は、内定当時には知ることができなかったり、また知ることが期待できないような事実がある場合で、これを理由に取り消すことが、解約権留保の趣旨・目的からみて、客観的に合理的で社会通念上相当な場合にだけ、取り消すことも許されるってしたんだよ。


うお座 ちょっと言い回しが難しいような…。要するに、特別な事情があって、取り消すこともしょうがない場合にしか取り消せない、っていうことでいいのかな?


ウサギ ごく簡単にいえばそういうことだよ。それだけ、労働契約を結ぶっていうのは意味があることなんだよ。


うお座 じゃあさ、その子の場合みたいに、「業績悪化」を理由に内定を取り消す場合はどうなのかな?


ウサギ これについてはね、裁判所は、いろんな事情を総合的に考えて、解約(内定取り消し)が許されるかどうかを判断すべき、ってしているよ。

具体的には、次の4つの事情を考えるべき、っていうことを言ってるよ(人を減らす必要があったのか、②人を減らす方法として、内定取り消しをする必要があったか、誰の内定を取り消すか、その選び方が合理的だったか、取り消しの手続きが妥当だったか)。


うお座 ふーん。じゃあ、バッサリこの場合はこう、この場合はこう、みたいにすぐわかるものじゃなくて、1つ1つのケースでくわしく内定取り消しが認められるかを判断するってことだね。


ウサギ うん。だから、その知り合いの場合も、くわしい事情まではわからないから、いまパッと結論をいうことは難しいけど、こういういろんな事情を考えた上で、業績悪化のために取り消すことが合理的とはいえず、社会通念上相当じゃないなら、取り消しは許されないっていうことになるよ。


うお座 そうかー。じゃあ、次会ったときにくわしい事情をきいてみようかな。

こうやって話をきいてると、あまり法律にくわしくないと、会社に責任を追及したりするのって難しいかもね。


ウサギ そうかもしれないね。

特に労働事件の場合は、条文があるから○×ってかんたんには割り切れないんだよね。それよりも、昔出た裁判所の判断を参考にしたりして、具体的な事件で事情をこまかくみていって、「この場合は合理的か」みたいに争うことが多いんだ。

だから、正直なところ、自分1人でがんばるよりも、裁判や専門文書を読むのに慣れている弁護士に頼んだほうが、より有利に戦えると思うよ。


うお座 わかった!

じゃあ、もしその子が力になってほしいっていうことになったら、またいろんなことを教えてね。

ありがとうむっくん。



むくの木法律事務所

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