うお座 むっくんおつかれさま。

この前の事務所で行った研修はすごく勉強になったね。ハンセン病の療養所を見学したり、入居者の方のお話を聞けるなんて、本当に貴重な体験になったよ。


ウサギ かおるんこそおつかれさま。

そうだね。むっくんはあそこの療養所に行くのは2回目なんだけど、大学生やロースクール生がいっぱい参加するって聞いてたから、いろいろ説明したくてまた参加したよ。


うお座 むっくん…お酒飲んで温泉入って寝ただけじゃなかったっけ?


ウサギ そんなことないプー! それはあくまで夜の話だプー! かおるんだってポテトチップスをバクバク食べてたじゃないの。


うお座 失敬な!ひと袋しか食べてないわよ。

まあそれはいいんだけどさ、療養所内に残ってる重監房(施設長の裁量で、罰として入居者を閉じこめていた)の跡とか、焼き場の跡とか、見学をしていてとてもつらかったよ。

昔、日本ではハンセン病患者の方に対して、どういう政策が行われていたんだっけ?


ウサギ うん。昔、日本では、ハンセン病患者の方に対して、

・強制隔離政策

・断種、堕胎政策

が行われていたんだ。

もちろん、今ではそんなことは行われていないよ。ただ、たとえば断種なんて、1992年まで行われていたっていうデータもあるし、決して大昔のことではないんだよ。


うお座 ひどいね。症状を自分なりに調べた限り、そんなことをする必要性はないのにね。

しかも、昔から感染可能性が低いっていうこともわかってたみたいなのに。


ウサギ そうだね。

ハンセン病の症状については、本やインターネットなんかですぐ調べられるから詳しくは言わないけど、すごく大きなポイントがあるんだ。それは、

・感染の可能性が極めて低い

・治療可能

っていうこと。

現に、療養所内で働いていた職員、医者や看護士でさえ、入居者から感染したっていう話は、これまで全然報告されてないんだよ。

それに、プロミンっていう薬がよく効いて、病気自体も治るんだよね。


うお座 そうなんだ。じゃあ、今も入居している方はどういう人たちなの?


ウサギ うん。今でも療養所に入居している方のほとんどはね、病気は治ったけど後遺症で介護が必要な方とか、身寄りが残念ながら見つからないっていう方ばかりなんだよ。


うお座 うーん。

じゃあさ、なんで国は、感染可能性が低くて、治療も可能なハンセン病患者に対して、強制的に隔離したり、種を残さないような政策をとっていたのかな?


ウサギ いろんな理由があると思うけど、ひとつには感染病に対する根強い差別意識があったからじゃないかな。

特に、ハンセン病の場合は外見に大きな症状が出ることがあったから、その意識を助長したんじゃないかな。

あとは、宗教観も背景にあったかもしれないね。


うお座 そういえば、エイズが20年くらい前に新聞で報道されだした頃も、たしか同じような差別や偏見が社会問題になったよね。差別の構図が似ている気がするよ。

話を戻すと、ハンセン病について、何年か前に判決が出てたよね?


ウサギ うん。平成13年5月、熊本地裁で「国会議員が隔離規定を改廃しなかったのは違憲」っていう判決が出たよ。この裁判については、小泉元首相が控訴をしないと決めたっていうこともすごく話題になったから、みんなの記憶にも残ってると思う。


うお座 うん。たしか、そのすぐ後(平成13年6月)には、入居者へ補償金を支払う法律もできたんだよね。


ウサギ そうそう。よく覚えてるね。


うお座 だからね、実は、今回療養所に行くまでは、違憲判決が出たり、補償金を支払う法律ができたりしたことで、ハンセン病の問題はもう解決したのかなあって思ってたの。

でも、まだまだ問題が残ってるんだっていう話を聞いて、とてもショックだったよ…。


ウサギ そうなんだよ。

たしかにかおるんの言う通り、違憲判決は出たし、補償金を支払う法律も整備されたよね。

でも、実は、入居者の生活環境は、一定額のお金をもらえたっていうこと以外、ほとんど変わりはないって言ってもいいくらいなんだ。

むしろ、療養所への予算の削減、職員の削減、医療機関の不足など、環境は悪化している側面もみられるんだ。


うお座 うん。入居者の方も、施設内の看護士がどんどん辞めてしまう、医者も外から往診に来てもらうけど、その回数が少なくて困っている、っておっしゃってたね。


ウサギ そうだね。

だから、弁護士や元患者の方が、違憲判決や補償金の法律ができた後も、ひき続き国に対して交渉を続けていたんだよ。

その結果、ようやく最近(平成20年6月11日)になって、いわゆるハンセン病問題基本法が成立したんだ。


うお座 ニュースで見たよ。その法律はどういう内容なの?


ウサギ うん。大きくいって、以下の4つの施策を定めてるんだ。

・国立ハンセン病療養所等における療養及び生活の保障

・社会復帰の支援及び社会生活の援助

・名誉回復及び死没者の追悼

・親族に対する援護

ごく簡単に法律の目的をいうと、いろいろあるハンセン病問題を、全面的に解決しよう、解決を促進しようっていうことだと思うよ。

この法律は来年(平成21年4月1日)から施行されるから、今度こそハンセン病問題が本当の意味で解決してほしいなって思うよ。


うお座 そうだよね。

入居者の方が、「自分はもう高齢で、先は長くないかもしれない。でも、生きているうちに、絶対にこの問題を解決する」ということおっしゃっていたのを聞いて、その意思の強さというか、強い意気込みを感じたよ。

変な言い方かもしれないけど、その言葉にとても感動したし、何か自分でもできることはないかなあって考えたよ。


ウサギ うん。

大事なことは、こういった問題があるんだっていうことに関心を持つことだよ。ひとりひとりが関心を持つことによって、大きな世論になって、国を動かすことだってあるからね。

だから、がんばらなきゃ!って肩ひじを張らずに、興味を持って本なりインターネットで見てみることから始めてみるといいよ。


うお座 うんわかった。こういう機会を作ってくれたボスに感謝☆
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