去年2011年エクスに行く前に、30年ぶりにマルセイユの町で5泊しました。
30年前は上の二人(二男はまだ生まれていなかったので)を連れて、ユーレルパスで1ヶ月半西ヨーロッパを彷徨って、イタリアから久しぶりにフランスに戻ったのがマルセイユだった。駅の観光案内所で安い宿を紹介してもらった。旧港のそばだった。港に出たら船が出てたので乗った。イフ島のそばを通り、ル・フリウール(Le Frioul)の港に着いた。しかし、帰りの船は夕方4時まで無いと分かったので、同じ船でそのまま引き返した。そばを行き来したイフ島だけが、巌窟王の閉じ込められていた島だと印象に残った。夕食に港のそばでブイヤーベースを4人で食べて、とても美味しかった思い出がある。しかし、一番印象に残っている事は、子供達が久しぶりのフランスパンにありつけて、よほど美味しかったのか、料理がくるまでに籠の中に入っていたパンを食べてしまい、お代わりをしてもらって、「イタリアから戻るとフランスのパンが美味しくて!」と、ついはずかしくて言い訳した事。
その時泊まった安宿が去年まだ存在していた。歩き回っている時に、偶然見つけた。狭い入り口から、真っ直ぐに上る階段が見えて、
「アッ、ここ覚えがある!」と思い出しました。港のそばの安宿だったので、アラブ系の人やアフリカの人達が多く泊まっていて、というより生活していて、共同のトイレやシャワーに洗濯場まであった。調理場もあったかもしれない。黒人の大きなおばさんが洗濯してらした。独特の雰囲気の宿でした。しかし、顔馴染になったその大きな黒人のおばさんに助けられました。
ある時部屋をノックする人がありました。顔を出すと、
「坊やが泣いているよ!トイレの中で泣いて困っているようだよ」と呼びに来てくださいました。
駆けつけると、長男がトイレの中で泣き叫んでいました。
古風というか半分壊れたトイレの鍵がうまく外れなくて出れなくなったショックで泣いていました。親切なおばさんがトイレの前の洗濯場にいてくれたおかげで、早くに助け出す事が出来まし
た。そんな忘れられない印象的な安ホテルに30年ぶりに出会えて感激でした。