今日は世間でいうところのホワイトデーで、普段なら琴子もお兄ちゃんに何をもらえるのかと色々聞いたり、余計な行動したりと煩くなる時期だけど今年はちょっと違う。

というか、看護師の国家試験あったからバレンタインデーやってる暇もなく、その為『お返し』であるホワイトデーに何か貰おうとは考えられないらしい。

因みにうちはここ一ヶ月ブラックデー続きで、これの解消はきっと琴子の看護師資格合格しかありえないんだろうなとため息が出て来る。

せっかく悪くない日なのに、ちっとも嬉しい気持ちにはなれないな。

好美からはもらえたけど・・・い、一応、友達だからさ。

でも、お返しくらいは考えている。

けれど、今の状況でそれは無いというか・・・悪いけど、うちは琴子と母さんが全てを決定すると言っても過言じゃない。

昔はお兄ちゃんが居たから対抗出来たけど、父さんもおじさんも気にしないせいで防波堤のない僕は二人の被害を一手に引き受けている。

まあ、お兄ちゃんほど被害はないけどさ・・・でも、この暗雲立ちこめた雰囲気で自分だけがどうこうなろうって気になれない。

全く・・・。

しかも琴子と似た性格の奴だろ。

いや、同じ大学に行くって約束しちゃったけど、こ、琴子だって入れた大学なんだしな。

うん、誰だって入れ―――

あーーーーー、ダメだーーーー

またかよっむかっ

僕は2階の自室から1階のリビングに下りて、迷わず琴子に言い放つ。

「うるさいなっむかっ もう試験終わったんだから、ダメも何も無いだろ!!」

そう、試験は終わったのに暗雲立ちこめたままだよ。

なんでも自己採点が足りなかったとか言って、ずーっと鬱々している。

ラスト慌て過ぎて問題用紙に自分の答えを書き写さなかったらしい。

あの答えは何て書いたっけ?と首を捻られても、こっちは知るかって言いたくなる。

でも、琴子は受かる気がするんだよな。

だってあのお兄ちゃんがついてるんだからさ。

「そーよ、試験は終わったからこそ、こうして考えられるんじゃない。普段だったら今頃入江くんの事で頭いっぱいなんだけど」

いや、それは今もだろ。

「そーよ、琴子ちゃん。今日はホワイトデーじゃない」と母さんが会話に割り込む。

なんかそこでピンチに立つのって僕じゃないのか!?って思うけど、逃げるのはまだ早い。

今逃げたら倍返しだ・・・『何が』かは分からないけど。

絶対、琴子とお菓子を作って、そしてお兄ちゃんの代わりに僕に振舞うんだ。

決して上手じゃないヤツを。更に輪をかけて、琴子は受験生だったからまともに料理してない。

腕が落ちている。

落ちる領域があればだけど・・・あれ、底辺じゃないのが怖いところだ。

やっぱり逃げようか―――というタイミングで電話が鳴って、振り向いた僕よりも早く琴子が電話に飛びついた。

なんかこんな競技が浜辺であったような・・・と考えてたら、琴子がかんだかく叫ぶ。

入江くーーーーんラブラブ

ああ、お兄ちゃんか。助かった。

そう思ったけど、暗雲が一時去っただけかな。

電話が来るという事は本人は神戸なままだもんね。

でも無いよりはマシ。

まあ、ホワイトデーくらいはお兄ちゃんもサービスするんだろう。

じゃないと、結果を待たずにお兄ちゃんのところへ駆けて行きそうだもんな琴子はさ。

そう思いながら、嬉しそうに電話で話す琴子を見つめてから部屋に帰った僕。


その一時間後、僕に差し入れが届いた。

母さんと琴子の合作クッキーだって。

その色が半分焦げていたのは言うまでもない。

ホワイトデーなんだから白にしろよと思いながら、ほろ苦いクッキーをバリッと齧った僕だった。

見た目ほど味は悪くなかったのは、お兄ちゃんの電話のお陰かな!?


ホワイトデー、なにを渡す?

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お久しぶりです。3月に入ってようやく1本目です。
コロナウイルスの影響で休校が続いていて、中々書く暇がありません。
そんな中、アメンバー申請をありがとうございました。
申し訳ないですが、半数が基本情報不備でして承認の気力が湧きません。
PCに向かう時間もかなり減っていて(子供の勉強の監視に数時間を要します)メッセージのやりとりを考えますと閉じた方が無難だなという結論に至りました。
休日の余暇を作品作りに当てたいので、こちらのわがままですがまた再開するまでお待ちくださいませ。
このブログが皆様の気晴らしのひとつとして活用されているのは嬉しく思います。
なので、一つでも多く作品を書ける努力はしたいと思います。申請希望、ありがとうございました。