1時間ほど,谷中,上野などをランニングして帰ってきました。ちょっといい汗かいてます汗


 今日のお勧めマンガは,もう,巨匠の部類に入るのでしょうか。


 業田良家「男の操」(上下)です。


 
suirenのブログ


 業田良家さんの作品と言えば「自虐の詩」「詩人ケーン」など,底流に,「貧」「善」「幸」が流れる作品が多いのですが,このマンガも,「貧」「善」「幸」がそこかしこにあらわれてくる感動作品です。


 ストーリーは,売れないやもめの演歌歌手「五木みさお」と,その娘「あわれ」が,貧しいながらも演歌の路を歩み,けなげに生きていくというものです。


 このマンガは基本的には1ページの中で簡潔するストーリーとなっていますが,それぞれがずっと継続して,1冊の大河ドラマとなっています。


 オチは悲しい(あわれな)落ちなのですが,人が生きていく上で常に抱えている悲しみを,ちょっとユーモアを交えて描いています。こういう,ただ悲しいだけでなく,悲しくもほほえましく感じさせる作風は,この作者にしか出せない味だと思います。


 みさおが所属する事務所の女社長(元アイドル),死別した妻の純子(元アイドル,社長の友人,タイミングよく?VTRで登場),同じく売れない演歌歌手の保,そして,みさおに思いを寄せる隣人の万田さんなど,個性もしっかりしている脇役(それぞれ心に傷を持っている。)たちによって,展開も飽きることがありません。


 そして,これらの登場人物による愛,哀,幸のそれぞれの形が見えてくるにつれ,その登場人物たちの行動に,とても心を揺さぶられます。

 自分にとって,大事なものは何か,幸せとは何か,最後は考えさせられながらも感動の終わりを迎える,マンガでありながら壮大なドラマとなっている作品です。


 この作品も,できれば「自虐の詩」のように映画またはドラマ化して欲しいものです。