ヒューリックという不動産会社の多角化については、ここで何度か触れてきました。
同社が進める不動産の総合商社化を進めるうえで、核となる事業の一つがこども教育事業です。
特に、東京を中心とする受験熱に対応する学習塾についてはもっとも力をいれてM&Aをしてきました。
同社の傘下企業になった有名塾に、お受験に強い塾を複数ブランドで展開するリソー教育グループ(TOMASなどの名前で関東地区に強い塾を展開)があります。
ヒューリックは2024年に同社を買収し、同社の展開するこどもでぱーとという子どもに特化した不動産ビルに出店させるなどして、その出店スピードを上げています。
リソー教育はお受験に強く、有名私立幼稚園や小学校、中学校、高校受験に強い塾を展開しています。
ただ、大学向けは手薄でした。
そこで、ヒューリックが今回新たに買収を決めたのが、大学受験塾の中でも、極めてニッチトップな事業を展開する鉄緑会。
(写真 ヒューリック リリース資料より)
ここは東大受験に圧倒的に強い塾として、東京では古くから有名な塾です。
私の親戚もここで学んでいた方が何人かいます。
最近はそこまで東大に強い というイメージはなくなっていたと感じていましたが、現実は今も東大に強い塾でした。
(以下、リセマムHPより一部抜粋)
東京教育研が運営する鉄緑会は、最難関大学を目指す中学1年生から高校3年生を対象とした集団受験指導塾。中高6年一貫の独自カリキュラムにより、2026年度は東京大学合格者584名(占有率20%)、うち最難関とされる理科三類において57名(占有率59%)という、きわめて高い合格実績を誇る。東大・京大出身率100%を誇る専任講師陣や、独自の指定校制度がもたらす国内最優秀レベルの生徒層が他社を寄せ付けない競争優位性を形成している。また、鉄緑会卒業生が同塾の学生講師や自らの子供の入塾を勧める「循環型ビジネスモデル」も、圧倒的なブランド力の源泉となっている。
(以上ここまで抜粋)
お受験情報を提供するリセマムによると、鉄緑会の2026年度の東大合格者数は584名で全体の20%を占めています。
今も強い。
特に東大理Ⅲでは59%の合格者を輩出しています。
これが同社のブランド力。
東大に強いだけでなく、東大理Ⅲに強いというのが最大の特徴なのです。
しかも集団指導中心で、中高6年間一貫教育。
在籍数で圧倒的に多いのが東京の東大進学実績No.1の開成高校生というかなりのニッチトップ塾です。
最近では京都大学への進学にも実績があるようで、大阪、京都、兵庫などにも展開しているようですが、拠点は東京・代々木。
東大目指すならまずは鉄緑会に というのが受験の世界の常識です。
これぐらいニッチトップを極めているだけに、入塾させたい親も多く、特に鉄緑会OB、OGが親になった家庭の多くは、子どもにも鉄緑会を選ぶという習わし(?)があるようで、次から次へとその子供も鉄緑会に入ってきます。
その評判を聞いた親がまたそこに通わせる・・・ということで、新規顧客も入ってくるような塾です。
東大ブランドが続く限り、鉄緑会ブランドもある程度保たれます。
そこに需要があると見たヒューリックは、同社の教育事業の柱として、このブランド力を使い、自社の不動産価値を高める役割として鉄緑会を傘下に入れたのです。
これは鉄緑会側としても絶好のチャンスと見たのではないでしょうか。
圧倒的な強さを誇ると言っても、塾や予備校の競争環境は非常に厳しいものがあります。
少子化が直撃していますし、同じように超難関校対策をうたう塾や予備校も増えています。海外大学への進学も視野にいれた子どもたちが増えています。
今までのブランド力だけで生き残れるほど甘い世界ではありません。
そこで、ヒューリックのように「東京を中心とした関東の好立地に物件を確保できる」という立地の優位性が活きてきます。
都内でも比較的、若い世帯が増えていて、子ども子育て世帯の多い立地で、駅の比較的近い場所に不動産を所有したり、開発し、そこに教育事業を集約させていきます。
こどもでぱーとはそれを体現した同社のプロジェクト。
こんな取り組みをしていくことで、ヒューリックとしてはビルの価値を高め、鉄緑会は出店強化できるという相乗効果があるのです。
これで同社は幼稚園受験からトップ大学受験までを完全に一貫して提供するコンテンツを手に入れた と言えます。
今後は同業もこれを受けて変化していくことでしょう。
日本の塾、予備校などの教育事業が、これから大きく変わっていきそうです。
教育は日本にとっても重要な産業。
異業種が入ることで、より良い方向に向かうことを期待していけるいける!!

