ドイツには、地味ですがかなり大きな小売業がいくつかあります。
EDEKAという黄色と青の看板が目印の食品関係小売業もその一つ。
売上高は2024年度で11兆円。
前年比でも3%近い伸びです。
EDEKAという食品スーパー業態と、Nettoというディスカウント業態を運営している食品小売業の最大手です。
現在同社の店舗数は1万店舗を超えていて、そのうちEDEKAという食品業態が5600店舗以上という、ヨーロッパに広く展開しています。
同社は日本で言うイオンのような、全店直営店型のGMSと言うより、地域卸+独立加盟小売業者+ディスカウント業者が事業として組み合わさった協同組合形式の流通グループです。
同社の主力業態がEDEKA。
いわゆる食品スーパーで、売上が7兆円近くあります。
日本でもひとつの業態でここまでの規模で展開しているスーパー業態はほぼありません。
1店舗1000~2000坪程度の大型食品スーパーで、ドイツ全土で必ずと言っていいほど見かけるドイツ人の生活には欠かせない店舗です。
さて、このスーパーの都心型最新店舗を見てきました。
ベルリン中心部の駅近商業ビルの核店舗として入っている店です。
「私たちは食品を愛しています」というキャッチフレーズと共に、No.1 というメッセージが目立ちます。
とにかく食のことを愛してやまない企業であるというコーポレートメッセージです。
こちらの写真は売り場の一部ですが、鮮魚コーナーです。
この新鮮な魚をさばくスペースがオープンになっていて、スタッフが忙しそうに動いています。
しかし、売るための魚をさばいているのではなく、実はここは隣接している店内のレストランの厨房的な役割も兼ねていて、レストランで料理のオーダーがはいると、ここでさばいた魚がレストラン内で提供されています。
鮮魚売り場のすぐまわりにはカウンターがぐるっと取り囲んでいて、そこでワインを飲みながらつまみとして貝を食べている人もいます。
じっくり食事を楽しみたい人はすこし離れたところにあるガラス張りのレストランでランチやディナーを楽しみます。
そのレストランも2カ所ほどに分かれているので、メニューと雰囲気によって客層が分かれています。
まさに、食品スーパーとレストランが一体化した店。
イタリアではイータリーもこのような飲食体験型食品スーパーになっていますし、アメリカでは今ではアマゾン傘下ですがホールフーズが飲食強化型業態を都心に開発しています。
しかし両社ともにそもそもグルメ型のスーパーで有名だったところ。
EDEKAはいわば、イオンやヤオコー、ロピアのような食品スーパーで、かなり身近な存在のスーパーなのに、ここまでの本格的なレストランスペースを持ち、展開を始めているというところがポイントです。
一般的な食品スーパーも、今や立地によっては、ここまでの食体験を提供しないと生き残っていけない時代に変わってきたということです。
考えてみれば食品スーパーの店内素材はもっとも鮮度の高い物で、旬な物を直接市場や農家から仕入れて、それを毎日陳列して販売しています。
その素材を使って料理をすれば、シェフさえよければ美味しい物が提供できるに決まっています。
最も生産地に近い場所が食品スーパーの店内なのです。
だからこそそこでの食体験を提供すれば、素材の良さに気づき、あらためて食品購入にもつながります。
食品スーパーを軸とした飲食展開は、その意味でこれからの世の中の主流になる可能性があります。
特に都心型の店舗では、ファッションではなく、こうした食品スーパーが核店舗としてはいり、飲食までを手掛けて食をすべてカバーするようになるでしょう。
食の可能性を実感した店舗でした。
食だけでなく、あらゆる業態が「体験価値」の提供がこれからのカギです。
今日もお客様におもしろい、新しい体験を提供していけるいける!!


