昨日、東京の小平市の花小金井に行く機会がありました。
花小金井駅から新宿に移動しなければならなかったのですが、せっかくなので花小金井でランチでもしようかと駅周辺を探してみました。
私はたいてい蕎麦屋を探すのですが、駅近にとても良さそうなファサードの蕎麦屋がありました。
まさに何十年もやってます というような暖簾がかかっていて、私の好きな蕎麦屋の風格があったので迷わず入ろうとしたら入り口に人が並んでいました。
数名だったのでそのまま並ぼうと入口左側に目をやると、なにやら案内文が貼られていました。
そこに貼られていたのは「お客様へ」と題した店主からのお手紙。
なんと今年の12月いっぱいで閉店するというお知らせでした。
初めて入る店でしたが、閉店のお知らせを見た瞬間から、なんとなくこの店のことを良く知る常連のような気分で、切なくなりました。
なんで閉店するのか。店主の方がご高齢で続けられくなったのか。
何かお身体の具合がよくないのか。
後継者がいらっしゃらないのか。
どんな理由かはわかりませんが、閉店するのは間違いなうようでした。
私ははじめてこの店を知りましたが、地元ではよく知られたお店らしく、並んでいた方々の話を聞いていると、昔からよく利用しているお客さんが閉店を知って、店に押し寄せているようでした。
そこに並んでいたお一人の70~80代くらいのおばあさまが話していたのが印象的でした。
「もうこの店がなくなっちゃうのは涙がでるほどさみしい。
理由はわからないのですけど、わたしのようなおばあさんはどこに食べに行ったらいいのか。
〇〇さんもなくなってしまったし、駅の近くの〇〇という軽食屋さんも10回くらい行ったけど飽きてしまって。これでこのおそばが食べられなくななったら一体どこで何を食べたらいいのか・・・」
と、これまた常連の、見知らぬお客さんに向けて話をしていたのです。
確かに。
地域の方々にとって、地域の名店がなくなるのは、ひとつの楽しみがなくなることでもあります。
この蕎麦屋さんのように72年間も続いた店がなくなっては、地域の宝がなくなるようなもの。
こんなことがこれから続々と起きてくる可能性があります。
全国の飲食店、特にチェーン店ではない個人経営のお店で、単店でやっているところは、経営者が高齢化しています。そんな店こそ美味しいところが多いのですが、それを続けられるような後継体制をとれている店はかなり少ないのです。
老舗の味を続けてもらいたいとお客は言いますが、やりたくてもやれないという実状を抱えた店も多い。
アトツギを探すサービスもありますが、そういうサービスすら利用できない、したくないという店主も多い。
そうなると地域の名店がなくなり、次々とチェーン店に切り替わっていく。
そんなことがこれからはどんどん起きてくるかもしれません。
旅行会社のHISが2020年にはじめたHISレストランプロジェクトも蕎麦屋の名店を残すということでスタートしましたが、5店舗ほど展開していましたが閉店してしまいました。今では残っているのかどうか。
吉野家はシェアレストランというアトツギサービスをやっていますが、多くは、店の経営をやめて、店そのものを貸すというレンタルサービスが多いようです。
そこにある厨房機器やスペースを借りたい人を探してマッチングするカタチです。
名店の味を若者が残すという本当のアトツギサービスもいくつかありますが、やはりそんなにたくさんの店をやれるわけではないようです。
これからの日本の食をどのように守っていけるのか。
考えなければならない大きなテーマです。
日本の豊かな食文化を守って今日もいけるいける!!
追伸
ちなみに私がいただいたカレー南蛮は辛くてめちゃくちゃおいしい。
寒い日なのに汗だくでいただきました。
これで980円。世界でもこんなにおいしいランチを6ドル以下で食べられるようなところはないでしょう。
こんなにおいしいおそばがなくなるのは本当にもったいない。
もう一度食べに行きたい店でした。

