先日の夜、NHKのEテレでやっていた「藤井聡太と羽生善治対談 一手先の世界へ」が非常におもしろかった。

 

 

将棋界を代表するこのお二人が対談するというのはほぼないので、このような対談を見られるというのは年末っぽいなあと思いながら、貴重な対談に引き込まれました。

 

藤井聡太と羽生善治、ETV特集対談

(写真 NHK Eテレより)

 

中でも私がとても印象に残ったのは、最近のAIの流れ。

最近は将棋の対局で一手を打つと、その時点での形勢をAIが判断して、〇%:〇%とどちらが勝利に近いかを数字で示すようになっています。

また、打った手が最善の一手とAIが判断しているか、それとも、それは三番目の手かなども、AIが判断して分析結果がでるようになっています。

いまの将棋の世界で勝つには徹底してAIを取り入れていかないと勝てないような雰囲気すらあります。

 

藤井さんはAIを徹底的に取り入れて、棋譜を研究していますし、羽生さんも練習にかなり取り入れていると以前聞いたことがあります。

 

こうした状況を受けて、羽生さんが

「コンピューターの登場、データベースなどによって、将棋の世界がどんどん速くなっている気がします。AIの登場でさらにその速さを感じています」と答えていました。

 

藤井さんはどうですか?と話を向けると、微笑みながら、

「僕たちの年代では、速いとは感じていません」

と答えたのです。

 

私は驚きました。

しかしそうなのかもしれないとも感じました。


羽生さんは私とほぼ同じ年代。55歳です。

藤井さんは23歳です。
年齢差はおよそふたまわりの違いです。

 

羽生さんとは何度か仕事でお会いしたことがありますが、それは聡明な方で、常に頭の中がフル回転しているような天才です。

しかし微塵もそんなことを感じさせないやわらかさをもった方です。

そんな羽生さんでも今のAI登場後の流れを速く感じているのです。

 

私は羽生さんのような天才ではないので、もちろん、パソコン、ネット、スマホ、AIの登場によって、世の中が「速く」進んでいるように感じています。

気づいたら次の技術やサービスが登場していて、追いつくのがなかなか大変 というくらいにめまぐるしく変わっていると思っています。

 

しかし藤井さんは、こうした情報の速さをあまり感じていないのだと言います。

2002年生まれ。

小学生の頃にはiphoneがあった世代です。

ネットはそもそも小さい頃から世の中に存在しています。

そして一番頭が柔軟な時に生成AIがでてきて、それを自分の将棋の世界に持ち込み、日々当たり前のように使っているわけです。

速さを感じると言うよりも、最先端の技術をもっとどんどんだしてほしい、むしろ遅いと感じているのかもしれません。

 

二人の話を聞いていて、最新の技術、情報への感じ方こそが、ジェネレーションの一番の差になっているのだなあと感じた瞬間でした。

 

速さこそが一番心地よく感じる年代と、速さがストレスになり始める年代。

それを超えると速さなんてどうでもいい年代にもなり、最後には速い遅いすら違いが分からなくなるのでしょう。

 

大切なのは、自分がこうした最新機器や情報に接した時に、どのようにそれらを受け止めるかだということです。

追いつけなくてもいいので、最初からそれらを否定しない。

わからないことと決めつけて、一切受け入れないという姿勢では、わからないことが増えていってしまいます。

 

藤井さんを見ていて、こういう感覚をもった人たちと接していくことこそ、われわれのような年代には必要なんだと実感しました。

 

今日も若者に学んでいけるいける!!