昨年から今年にかけて、インフルエンザが流行しています。
そこで出てきたのが「インフルエンザ感染薬が足りない」問題です。
インフルエンザ薬が薬局に足りず、患者さんに十分に薬を渡すことができない という話を地域薬局で何度も聞きました。
薬屋さんに必要な薬が足りない。
発注をかけたくても卸にもメーカーにも在庫がない。
生産しているのに間に合わない。
そんな状況が続いているのです。
これはインフルエンザ治療薬の話だけでなく、別の薬でも同様なのです。
とにかく全般的に薬が足りないのだと言います。
なぜなんだろうと思っていました。
しかし、どうもその原因は、一部の大手薬局チェーンや医療機関が過剰に発注したことに原因があるのでは?ということのようです。
厚労省のまとめによると、1月12日までの1か月間のインフルエンザ感染者数は推定で680万人だったそうです。
それに対して医薬品卸から医療機関や薬局に出荷された治療薬は1070万人分。
つまり、390万人分は余剰があるのです。
十分に足りる量があるにもかかわらず、それが必要な薬局に届いていない。
結果的に患者さんに届かない。
これは明らかに薬がどこかに偏在しているということです。
どこかの倉庫にはたくさんあるのかもしれません。
しかし必要なところにはない。
医薬品という人の命にかかわるものが大手のチェーン店などによる過剰発注が原因だとしたらこれは大きな問題です。
これが衣料品の品不足であれば話は別です。
爆発的な売れる商品がでて、小売店がそれを多めに発注して、売り上げを稼ぐということは通常みられることです。
早めに発注して在庫確保しないと、発注しても入ってこないことになり売り上げがあがらないことはよくあることです。
いかに早めに発注して早めに在庫を確保するかがポイントです。
衣料品の場合は売れる店と売れない店がでるだけの話です。
その商品がないことで、買い手である消費者が健康被害を受けたり、命を落とすようなことは基本的にはありません。
店もトレンドが終わりその商品が余ってしまえば、仕入れ値を大きく下回る売価で販売しなければならないため、発注する際には相当な緊張感をもって仕入れます。
だから極端な発注の偏在は起きにくいとも言えます。
しかし薬の場合は、多めに発注して仮に余ってしまったら返品することもできる(すべてではないが)場合が多いと聞きます。
ただし薬は国が定める保管基準があるため、それを過ぎれば廃棄せざるを得ないという状況にもあると言います。
大量に仕入れて、余れば返品し、それを廃棄する。
食品ロス、フードロス問題がこれだけ騒がれているのに、薬品ロスが大騒ぎになることはあまりありませんでした。
しかし一部の薬については薬品ロスが多く発生しているのかもしれません。
地域医療にかかわる医療機関や薬局は全国にまだまだ多くあります。
私のお客様も地域になくてはならない薬局です。
このような薬局にこそ、季節性の病を治療する薬が必要です。
それが用意できない理由が、大手チェーンの過剰発注にあるのだとすれば、これは是正しなければなりません。
普通の商品ではないからです。
人の命、健康にかかわる商品についてはきちんとしたルールのもと、偏在が起きないような制度、ルールづくりが必要です。
過剰 は今の時代には適していない言葉です。
過剰要求 過剰接待 過剰発注 過剰労働 過剰命令 過剰な儲け。
過ぎるものはいらないのです。
いかに適正にもっていくか。
無駄な物を生み出さず、適正な量、適正なタイミング、適正な商品、適正な価格、適正なサービス、適正な提案方法が求められます。
これをマーチャンダイジングの6適と言うのですが、あらためてこのマーチャンダイジング理論こそ、今の薬の世界に必要です。
今日もマーチャンダイジング原則にのっとっていけるいける!!