以前は日本の総合スーパーの代表的な企業であった西友。
最近はSEIYUと書いた方が通じるのかもしれない。
そんな西友が、いま、あらためて小売り大手の間で注目されています。
同社株の多くを持つKKRという投資ファンドが、西友売却を検討していることが明らかになったからです。
(写真 西友 某店舗)
西友売却で手をあげたのは、数社と言われています。
イオン、ドンキのパンパシフィックHD、トライアルなど。
ただあくまでも推測で、正式には応札企業は公開していませんのでこれらの企業ではないかもしれないし、他の企業かもしれません。
しかし、小売り大手が中心ではあるようです。
2月にはどこに売却されるか決まります。
ここで疑問を持つ人がいるでしょう。
なぜ、いまも西友が注目されるのか。
そこまで西友って力があるのかということです。
西友は店舗で見ると、なかなか魅力的なスーパーなのです。
ひとつは店舗数。
もうひとつは立地です。
まず店舗数ですが、西友は本州に展開している店舗だけで242店舗あります。
まだそんなに店舗数があったのかというくらい店舗数があります。
本州で店舗を展開したい企業は多い。
それをゼロから探して店をだすには相当な労力と資金がかかります。
西友の出店しているところは人口がある程度読める県が多く、出店強化したい企業にとっては、本州に店を多く持つ西友はやはり魅力的。
特に、西友は西武百貨店から独立して展開してきただけあり、東京を中心に店舗展開してきたスーパーです。
だから東京以外に店舗を多く持つ企業や郊外中心に店舗展開してきた企業にとってはぜひほしい企業であるのです。
そしてもうひとつが立地です。
西友の特徴と言えば、都心に店舗が多いこと です。
特に駅前、駅の近くに店舗をもっていることが多いのです。
東京都内で駅前に店舗を持っている。
これは、ドンキやトライアルなど、郊外に強い企業で都心に店を持ちたい企業にとってはぜひほしいところでしょう。
イオンも地方については郊外中心ですから、同じように都心店舗がほしいということです。
しかしすべての店舗がいいかというとそうでもありません。
店舗が古い。
ハードに手直しが必要。
手直しすると言っても大幅なリニューアル費用が必要になることを考えると、すべての店舗を引き受けたいというわけでもなさそうです。
私が時々利用する西友店舗は古く、最近のスーパー店舗と比べるとどうしてもハード面で見劣りします。
照明、陳列、ディスプレイ、品揃えなど。
特に品揃えの特徴がわかりづらくなっています。
ウォルマートが西友を完全子会社化した時にはEDLPで、安売りというより、毎日毎日常に全品が買いやすい店として経営をしようとしていたので特徴がありました。
しかしそれが弱まり、手放してからは、極端な安売りをするようになり、ギミック的な売り方としてはおもしろかったのですが、日常使いをするスーパーの売り方としては疑問符がついていたと私は思います。
無印良品を生み出したのは西友ですし、ファミリーマートも西友から始まっています。
西友はかなりオリジナリティのある店だったのです。
それが消えてしまった。
やはり企業というのはその企業ならではの独自性こそが重要です。
独自性が消えてしまうと、その企業ならではの価値が消えるので、なんの会社なのかが伝わらなくなります。
経営が変われど、うちの会社はこれでいく という会社の軸となる部分は残してほしかったというのが私が西友に思うことです。
優秀な社員が多く、小売業の中でも先進的な取り組みをしてきた企業だっただけに、
その行方を見たいと思います。
今日も独自性を考えていけるいける!!