昨日は那覇を朝の6時に出て、伊江島(いえじま)というところに行ってきました。

那覇から車で2時間ほどの、沖縄美ら海水族館近くの本部港というところからフェリーに乗りかえて30分。伊江村(いえそん)に到着します。

 

(写真 フェリーからの眺め 海が青く美しい)

 

(写真 島のシンボルとも言える伊江島城山 いえじまタッチュー とても印象的な山 今度行ったら登りたい 170メートルくらいらしい) 

 

沖縄県国頭郡伊江村。

人口4500人ほどの村。

村役場の方に伺うと、牛が2000頭、犬が200頭、猫が1000頭いる村らしい。


しかし実際には「猫はもっといるようだ」ということで始まったのが「さくら猫TNR活動」です。

 

 

今から8年くらい前に、伊江村では野良猫に村民は悩まされていたのです。

いろんな場所に野良猫がでてきて、生活に影響がてでいたそうです。

 

たとえば村の農家が大切に育てている菊。

せっかく植えた菊の苗の畑に野良猫が入ってぐちゃぐちゃにしたりしてしまったり、牛舎にたくさんの猫が来るようになって牛用の飼料を食べてしまったり、家のまわりに野良猫が大量にでることでひっかかれたりする危険性がでるなどして、村になんとかしてほしいという苦情がたくさんきていたそうです。

 

野良猫がたくさんいるということは、野良猫がどんどん子供を産んでしまうから。

飼い主がいればそれも避妊・去勢手術をして抑えられますが、野良猫はそういうわけにはいきません。

捨てられたり置き去りにされた猫そのものには責任がありませんが、誰かがそれをサポートしなければ延々と猫が増え続けてしまい、村の生活そのものが成り立たなくなってしまいます。特に観光業も盛んな伊江村では、これはなんとかしなくてはなりませんでした。


同時に、誰も対処しない状態が続いたら、ねこを虐待するようなことが起きないとも限らない。

猫たちを護るためにも誰かがサポート活動をしなければならなかったのです。

 

そこで立ち上がったのが村で民泊などを営む、知念スーシーさん。

村の有名人です。

 

(写真 スーシーさん)

 

当初はスーシーさんが自ら野良猫を捕まえてフェリーに乗って那覇まで連れていき、病院の先生に頼んで避妊去勢手術をして、また島に持ち帰り、猫を島にリリースしいたそうです。

しかしあまりにも数が増えすぎてそれだけでは解決できなくなってきた。

そこでその獣医師、東野(ひがしの)先生に島まで来てもらうようにして、もっとスピード感をもって活動を進め始めたのが5年前。

以来、5年間にわたってほぼ毎月、このさくらねこTNR活動、飼い主のいないねこの避妊去勢手術活動を行っています。

 

(写真 やすみなく朝からずっと仕事し続ける獣医師、看護師のみなさん 頭が下がります)

 

さくらねことは避妊去勢手術をした猫の片耳を桜の形にカットして、手術済みなので再捕獲の際にわかるようにする目印です。さくらねこであれば手術済みなので大丈夫ですよ というサインになります。


このさくらねこ無料不妊手術事業を公益財団法人どうぶつ基金がサポートして、できるだけ町や村がお金をかけずにTNR活動ができるようにしているのです。

 

しかし、実際にこの活動を推進していくためには、そこに関わる方々の善の精神がなければ続きません。


猫を捕獲するための仕掛けをして、安全に傷をつけないように猫を捕まえて、それを車で集めてまわって、獣医師さん、看護師さんに島まで来てもらって、フェリーが終わる16時までには手術から器具の片づけまでのすべてを終えて、また那覇に戻らなければなりません。


島の村役場のみなさんやスーシーさんたちは、さくらねこたちを、そのねこたちがいた場所付近に戻してあげて、ねこたちが安心して暮らせるようにもしなければなりません。

 

また、定期的にねこの譲渡会も行い、ねこたちの飼い主を探す活動も続けています。すでに数百頭の譲渡をしたそうです。

 

このような活動を続けるためには、そこにかかわるみなさんが善意でワクチン代をだしたり手術台を自ら作ったり、餌代や運搬に使うカゴや水やガソリン代など、本当にいろいろな経費をサポートする必要があります。

基金のみではまわらず、どうしてもみなさんの善意が必要になります。

 

それをスーシーさんが先頭に立って自らの善意でやり続けているから、村役場のみなさんも本気になって取り組み、そこに獣医師チームも一日休みなく手術をし続けて、ついに昨日で991頭目を数えるまでになりました。

 

私ははじめて参加しましたが、島のために、島を訪れる観光客のために、猫たちのために、こうしたさくらねこのTNR活動にボランティアのような形でみなが協力し合う姿は素晴らしいと思いました。


それを村としても全面的に進めている姿勢にも感動しました。

そして自らの生活がありながらも、ねこにも安心して暮らしてほしいと活動を続けるスーシーさん、それをサポートするSOAの小川会長にも頭が下がりました。

 

みんなの善意がつながって、本当の善循環を作り上げています。

いよいよ来月には1000頭のさくらねこに到達しそう ということでみなさんの活動が一つの節目を迎えます。

 

およそ1000頭いると言われている伊江村の野良猫に関する苦情は、もうほとんどなくなってきたそうです。


実はこのような問題は全国の島、村、町で起きている問題です。

伊江村のような取り組みには、強烈なリーダーシップというか、自分のことより他人のことを考えられる熱いリーダーと、村の協力、そして、熱い獣医師と看護師、同時に純粋な気持ちをもったサポーターが集まってはじめて成り立つ活動です。

そんなポランティアの本質を見させていただき感動しました。

 

今後は私にもできることをサポートしていきたいと思います。

そして、伊江村には今度は観光でぜひ訪れたいと思いました。なんにもなくてほんとに良さそうな島でした。

 

今日も自分のことより他人のことを考えていけるいける!!