<白い壁:第一章・・・35>







まゆこの前に並んでいるもの。


下地、コントロールカラー、コンシーラー

ファンデーション、アイブロー、アイシャドー、マスカラ・・・


今日は薬用リップじゃなくて、ちゃんとした口紅。


最後にチークを薄く入れた。



汗で落ちないように、なるべくエアコンの効いた場所を選んで

歩かないといけないかな。

脂取り紙も持って行った方がいいかな。



久しぶりのメイクは楽しかった。


手元が覚束ないときもあったし、
アイライナーはひいていないし、

マスカラのためのカールもほとんどつけていない。


それでもまゆこにしてみれば、久々のメイクだ。

ちょっと疲れたけど、楽しかった。


他の人からすれば、大して濃いメイクではないので、

あまり変わりはないかもしれないけど、

まゆこ自身からすればとても違う顔ができた。


自分でも明るくなったような気がする。


亮子さんのようにはいかないけど、

それでもいつもの自分より自分が明るく見える。



髪も巻くことは不器用なまゆこにはできないが、

代わりに1つにまとめてシュシュで留めてみた。

少しナナメの位置にしたので、正面から見ると、

ちょうど髪とシュシュがいい具合いに見える。



これにシュシュに合わせて、淡いグリーンのワンピースを選んだ。

アイシャドーがグリーン系だから、これも合うはず。



バッグも亮子さんとはまた形が違うカゴバッグを出してきた。

久しぶりに持つが、おかしくはないだろう。



いつもより45分も早く準備を始めたが、もう家を出る時間が

迫ってきていた。


それでも今日のまゆこは慌てない。



今日は少し早足で、胸を張って歩こう。



そう思いながら、メイク道具を片付けて、

一通り、リビングをチェックすると、

エアコンのスイッチを切った。


玄関でお気に入りの本革のサンダルを履くと、

これも雰囲気がワンピースに合っていて満足。


玄関のドアを開けると、いつも怖がっていた外の世界が

少し平気に思えた。


メイクという仮面のせいだろうか?


カチッと日傘を開くと、先に玄関から出して、

自分が後から出る。


玄関の鍵を閉めて、確認する。



心なしか、足元が軽い。


雄二のいない外出でここまで気分が軽かったのは

はじめてかもしれない。


さすがにまだサングラスをしてはいるが、

はずしてもいいようなくらいの気分だ。


今日は、待合室でははずしても大丈夫かな・・・


そう考えながら、まゆこは駅への道を歩き出した。




(つづく)