<白い壁:第二章・・・4>




お互いに住んでいる場所や、最寄り駅を話しているうちに、

30分はあっという間に過ぎていた。


路線は違うが、病院までの距離は同じくらい、

通院頻度も、まゆこは2週間毎だが、

亮子は今のところ1週間毎だが、そろそろ2週間になるらしいことなど、

今後は同じ日時が診察日になりそうだということがわかった。


毎回、こうしてお茶をすることはないだろうが、

きっと何回かに1回は同じようにお茶をするんだろう。


なんとなくまゆこはそう思った。


毎回じゃないというのは、まゆこ自身の希望でもあるし、

そんなニュアンスを亮子からも感じたからだ。



グラスの氷が溶けて、カランと回った。


「そろそろ薬もできたかしら?」


亮子はそう言って、時計を見た。


時計を持っていないまゆこは、携帯電話で時間を確認した。


「そうね。もうできてると思うわ」


「じゃぁ、今日はこれくらいにしましょうか?」


「えぇ」


まゆこが答えると同時に、亮子は伝票を持って、サッサとレジに向かった。


まゆこはもたもたとそれに着いていった。



「あら、今日は私にごちそうさせて。誘ったのは私なんだもの。」


亮子は当たり前のように、2人分の会計を済ませてしまった。


「でも、それは悪いわ。私も亮子さんと話せて楽しかったし・・・」


まゆこは自分の分をお財布から出すと、亮子に渡そうとした。



「ほんとにいいのよ。今日は特別ってことにしましょうよ。

 次からはちゃんと割り勘でね。」


亮子はそう言って、お財布をバッグに入れてしまった。


あまり強固になるのも悪い気がして、

今日は亮子の言葉に甘えることにした。


「亮子さん、ごちそうさまでした。」


軽く頭を下げて、まゆこは礼を言った。



「そんな、堅苦しくしないでよ。

 これからも時々でいいからお茶しましょうね」


亮子も毎回とか考えてないことがわかって、

まゆこはその点でもほっとしながら、

笑顔で頷いた。



薬局に戻ると、2人分の薬はできあがっていた。


それぞれに会計を済ませて、駅方面へ歩き出した。


まゆこの乗る電車の改札の方が先にある。


「それじゃ、私はここだから」


まゆこはそう言って、隣を歩いていた亮子に言って、回数券を出した。


「回数券使ってるの?」


亮子に思ってもいないことを聞かれてまゆこは少し驚いた。


まゆこの使っている沿線では、時間指定の回数券があり、

通院にはちょうど良い時間帯の上、通常より2枚余分に発券されるから

1回の通院分お得なのだ。


それを亮子に説明すると、「私の方にもないか見てみるわ」と亮子は言って、

「それじゃぁ、また2週間後にね」と、手を振った。


まゆこも「じゃぁね」と小さく手を振って、改札を抜けた。


振り返ると、すでに亮子の姿はなかった。



(つづく)